売り物件や賃貸を探す際に、まずはネットで情報収集をする方も多いですよね。その中でも、「いわくつき」事故物件の情報サイトを運営している大島てる。このサイトは有料登録などの必要も無く、誰でも書き込みや閲覧ができるため、情報の真偽について度々物議が醸されることも多いサイトです。
もちろん、情報が掲載されてしまうことで物件のオーナーにも多大な影響が及ぶため、内容を削除できないのか、どのように対処すべきか知りたい、という声もよく聞かれます。この記事では、物件をお持ちのオーナー様に向けて、大島てるに掲載された情報の削除方法とその後の対処方法について解説します。
大島てるの情報は削除できるの?
結論から言うと、大島てるの掲載情報を削除できる可能性はあります。ただし、運営側も明確な意図をもってこのサイトを運営しているので、いくつか注意が必要です。まずは、実際に大島てるに掲載される基準やその際に注意すべき点などについて詳しくみていきましょう。
掲載される事故物件の定義と仕組み
大島てるのサイトで事故物件と定義されるのは、主に、殺人事件・自殺・火災などで死亡者の出た物件とされています。該当する物件の「住所地番や部屋番号」「事故の発生した日付」「事故の内容」「写真」「亡くなった方の死因」まで公開されています。掲載情報は全て無料で閲覧でき、一般のユーザーによる投稿型で自由に書き込みができるサイトです。事故物件は、以下のようにマップ上で炎上マークが付いています。そのマークをクリックすることで物件の詳細な情報を閲覧することができます。
一般的な告知義務と瑕疵担保責任について
もし、所有物件が事故物件となってしまった場合、賃貸借契約をする際に、オーナー側には告知義務というものが存在します。賃貸借契約上の信義誠実の原則の下、借主が建物を借りるか否かについて判断する重要な要素について告知をする義務が定められています。この告知義務について、不動産会社に一任してトラブルになるケースもあるため、オーナーの方は必ず認識しておきましょう。告知すべき内容については、「物理的瑕疵物件」と「心理的瑕疵物件」の2つに分かれています。これらは、宅建業法の47条で相手への告知義務が発生します。
物理的瑕疵物件・・・障害や欠陥がある物件
心理的瑕疵物件・・・事故や事件によって、借主に心理的不安を及ぼす物件
また、告知義務が発生する期間については、一般的に賃貸契約ですと2~3年程度、売買契約の場合は5~6年程度といわれています。
所有物件の掲載有無の確認
特に、所有している物件の売却を検討している際には、「建物の現状を買主に説明する告知義務」が発生し、クレームや瑕疵担保責任を負うリスクを少しでも抑えるためにも所有物件が掲載されていないか確認しましょう。また、自分の所有する物件だけでなく、近隣や同一建物内にも過去に事故が無かったか確認する必要があります。買主との契約後トラブルにつながらないためにも、まずは所有物件名で検索をし、確認を行うことをおすすめします。
サイト運営者の考え方について
運営側も悪意をもって、このサイトを立ち上げたわけではないようです。過去に起きた事故を隠ぺいする悪徳業者からの被害を防ぐため、という名目で事故物件の情報提供サイトを運営しています。金銭の持ちかけや脅迫、訴訟の宣告などの圧力に屈して情報を削除することはないと公言しています。
大島てるの情報の削除方法について
それでは、次に削除対象となる投稿の基準や実際の削除手順を紹介します。
削除対象とされる投稿の定義
サイト内に、明確な削除基準などの規定は記載されていません。過去に運営側でメディア取材に応じた際に話した内容や削除申請が受理されたケースとしては、下記の様になっています。
誤りのある情報の記載・・・事実無根であると確認できた場合は削除対応される
サイトの本旨に合わない情報・・・「自殺未遂があった」など、正しいけれども当事者が亡くなってはいないケース。その場合は正しい情報でも削除する、としている
公的施設や空間・・・駅、病院、商業施設などへの書き込み
削除申請の方法
削除対象となり得る投稿と判断できた場合、サイト内から削除申請を行うことができます。削除依頼フォームや連絡先が記載されていないため、該当物件のコメント欄から事実でない旨を添えて削除の意向を伝えましょう。具体的な手順としては下記を参考にしてください。
- 大島てるのサイトへアクセスする
- マップ内の掲載された情報を表示
- 該当物件の炎上アイコンをクリックする
- コメント欄をクリックする
- 「コメントを投稿する」に事実でない旨、削除対応の意向をコメントして投稿する
もう一つの方法としては、法人登記されている「株式会社大島てる」宛てに簡易書留、もしくは内容証明郵便を送るという手段もあります。こちらも確実に対応してもらえるかどうかは運営側の判断次第となります。
投稿者の特定は可能か?
ネット上での権利侵害は、プロバイダ責任制限法の対象となり、投稿者の情報開示請求が可能になります。まずは、対象となる投稿に権利侵害が認められるかを確認し、訴訟を通して投稿者のIPなどの開示請求を行います。IP情報を元にプロバイダも特定し、プロバイダ側に訴訟を起こし、投稿者の個人情報を開示させるという方法があります。しかし、プロバイダ側も簡単には情報開示は行わないため、法的な手順を踏む必要があります。まずは、ネット関連の訴訟に強い弁護士に相談してみることをおすすめします。この場合は、サイト運営側(大島てる)に対する訴訟ではなく、投稿者本人への損害賠償請求という形になります。
削除できなかった場合の対処方法
もし、削除要請が受理されず、なおかつ法的手段も棄却された場合には、告知義務に基づいて買主・借主へ事実説明を行うしかありません。契約後に事実が発覚した場合の契約解除や訴訟リスクを避けるためにも、正直にその旨を伝えた上で、次のような対処を検討しましょう。
- 家賃や売値を下げる・・・一般的に、事故物件となった場合は値下げを検討することをおすすめします。約2~3割程度値下げされるケースが多いようです。
- 事故物件の買い取り専門業者に問い合わせる・・・直接取引で事故物件を買い取ってくれる業者を探し、売却するのも一つの手です。
事故物件買い取り専門業者の探し方(不動産売却プラザ)
こちらは、訳アリ物件の買取に特化した業者や事故物件でも高く買取ってくれる業者などが複数紹介されているまとめサイトです。これらの情報を参考に、相見積もりや業者選定をしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
万が一、大島てるに所有物件が掲載されてしまった場合は速やかに事実確認を行い、事実無根であれば削除申請、もし事実の掲載であった場合には告知義務に基づき、買主や借主に対してしっかりと説明をしましょう。その上で、価格見直しなどの対応策を練ることが必要になります。オーナー側としても、所有物件で事故や事件が起きることは、予見・防止が不可能に近いのでリスクに対する心構えは重要といえるでしょう。