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【解説】住所でポン!(ネットの電話帳)の削除はできるの?

タイトル

個人情報の取り扱いについて、センシティブな問題として取り上げられる昨今。ふと、自分の身内の名前や実家の住所、電話番号等でインターネット検索した際に「住所でポン!」というサイトにたどり着いた方もいらっしゃるのではないでしょうか?実際にサイト内をみてみると、掲載許可した覚えのない自分の実家の住所や電話番号、世帯主の名前など個人情報が掲載されていて、非常に困惑されたかと思います。本記事では、こちらのサイトに記載されている個人情報を「削除できるのか?」という疑問についてお答えしていきます。

住所でポン!(ネットの電話帳)について

ネットの電話帳

運営者である示現舎合同会社代表の宮部龍彦氏によって、2012年に「住所でポン!」という名称でこのサイトが開設されました。名目としては、インターネットの電話帳として、2000年、2007年、2012年のハローページに掲載されていた固定電話の電話番号、姓名、住所がそのまま転載されているようです。2015年に、サイト名が現在と同じ「ネットの電話帳」に変更されました。また、いわゆる、ミラーサイトとして、全く同じ内容の情報を転載しているサイトも存在します。こちらのサイト以外にも、有料版(JPON EXTREME)iOSとAndroid用のアプリ版もあり、1993年から2013年までの電話帳を検索可能で、トータルでおよそ600,000,000件程度のデータを検索できるとされています。

住所でポン!(ネットの電話帳)の削除はできるの?

基本的には、どんなサイトでも掲載された内容を削除してもらう為には、サイトの運営元に対して連絡をとる必要があります。また、それぞれのサイトで削除の対象に関する規定やルールを設けている場合もあります。

削除要請の可否

住所でポン!(ネットの電話帳)の運営者サイドは下記の通り、掲載内容に関しての削除依頼は例外なく拒否する姿勢を貫いています。その為、直接サイト運営者に対して、掲載されている個人情報の削除を求める申請を行っても、素直にその要求が受理されることは限りなくゼロに近いでしょう

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削除請求事例:「住所でポン事件」

ガベル実際に個人の方で、運営元へ削除請求を求めて提訴した判例があります。結論としては、原告の訴えが認められて、サイト運営者に対して原告の掲載情報の削除と5万5千円の支払いが命じられました。判決のポイントとなったのは以下の点です。

~プライバシー侵害について~

被告(サイト運営者)の言い分として、「掲載した情報は、ハローページという電話帳として公に掲載されている情報の転載なので、問題はない」という見解に対して、裁判所側は「不特定多数の者からのアクセスが容易になり、生活の平穏について不安を抱く者がいることは否定できない。」「本人が、自己が欲しない他者にみだりにこれを公開されたくない情報であると認められる」という点においてプライバシー侵害を認めています。

~無断掲載について~

被告側の「NTTのハローページや過去の住所録は誰でも調べることができ、公に公開されている情報なので、同様の扱いとして問題ない」という主旨の見解に対しては、「特定の相手方や開示方法を指定した情報開示の同意が、他の者や他の開示方法に対する同意ないし承諾と同視できるとは考えられない」として、無断でネット掲載されることに関して異なる扱いであるとしました。原告としても、ネットでの個人情報掲載は承諾もしていないし、望まないことである為、「ネットの電話帳」に本人の了承なく、原告の名前・住所・電話番号の個人情報を掲載していることは「違法」という判決がでました。

削除以外の対処例について

前述の様に実際の判例も出ている為、訴訟を起こして削除を求めることは事実上可能ですが、弁護士・裁判費用を掛けることが難しいという方やそもそも勝訴しても慰謝料を含めて負担するコストが見合わないという問題点もあります。とはいえ、何かしらできることは手を打ちたいという方は、次の内容を試してみてはいかがでしょうか?

編集機能で記載内容の誤りを指摘する

住所でポン!に掲載されている項目一覧に、注釈機能というものがあり、ペンマークを押して、廃止・移転などのコメントを添えて情報を更新することができます。この注釈機能を活用して、例えば「引っ越しました」「この情報は誤りです」などと記載すれば、検索から訪れたユーザーに対して注意を反らすことができます。

検索結果に出現するリスクを抑える

つい気になって、自分や知り合いの家の住所を調べる方もいらっしゃるかと思いますが、掲載されている住所や名前、電話番号をクリックして表示させると検索結果が自動的に生成されてしまいます。その検索結果がGoogleにインデックスされ、オーガニック検索の上位化要因にもなってしまうので、自分の個人情報を見つけても下手にクリックして触れないように注意しましょう。

まとめ

運営者側は掲載している内容の正当性を強く主張していますので、削除依頼で申請が通ることはまず無いといえるでしょう。実際の裁判で勝訴した例もありますが、結論としては、住所でポン!(ネットの電話帳)に掲載された個人情報を消すことは現実的には難しいと言えます。また、サイト自体を閉鎖に追い込むことも時間や労力など多大なコストが必要になるので、非常に困難ではあります。その為、一番に言えることは、一般的にそこまで認知度が高いサイトではないのであまり敏感にならず、なるべく自分の情報がネット上に露出されないよう、記載情報に下手に触れないことをお勧めします。