インターネットに接続できる環境とメールアドレスがあれば、いつでもどこでも手軽に使えるTwitter。世界中の人と繋がる事ができるサービスなので、距離を気にせず海外のユーザーとやりとりをしている人も多いでしょう。
一方、Twitterはその手軽さ故に情報の拡散スピードがとても早く、一度風評投稿が広まり炎上すると、その被害も大きく被る事となります。風評被害の加害者はもちろん、被害者にもならないように知っておくべき事をまとめました。
Twitterの特徴やルールを確認
10代から20代を中心に男女問わず人気のあるTwitter。メールアドレスの数だけアカウントを作成する事が可能なので、趣味や用途別にアカウントを持っている方もいるかもしれません。まずは、Twitterの特徴やルールについておさらいしてみましょう。
Twitterの特徴は?
Twitterとは、140字(全角文字。半角英数の場合は280字)の文章を1投稿として発言できるウェブサービス。リアルタイムに短い文章を投稿でき、様々なユーザーとまるでチャットをしているかのように使用できる手軽さが人気を呼び、現在世界全体で見ると3億人以上ものユーザーが利用していると言われています。
自分、または他人のツイートで気に入ったものや共感したもの、後に見返したいものに「いいね」をつける、または「ブックマークに保存」したり、任意のユーザーとDM(ダイレクトメッセージ)で他人に見られない形でメッセージを送り合ったりするなど、コミュニケーションに特化した機能が多数存在します。
また、自分のフォロワーに見て欲しいものを「リツイート」する事で拡散する事もでき、このリツイート機能の手軽さによって思わぬ風評が拡散され被害が出る事件が多数ありました。
Twitterの詳しいルールって?
風評であるなしに関わらず、Twitterでは投稿を禁止されているルールが存在します。そのうちのいくつかを紹介します。
- 個人または集団に向けた暴力を示唆する内容
- テロ行為をほのめかす内容や助長する内容
- ヘイト行為(種、民族、出身地、性別、信仰している宗教などによる脅迫や嫌がらせ)
- 自殺または自傷行為の助長や扇動
- 過度なR18コンテンツを含む画像/動画を投稿すること
- 違法な活動を促進させるためにTwitterのサービスを利用すること
- 自宅の住所や電話番号を公開する事、公開すると脅迫したり、他社に公開を促すこと
どれも公の場で発言する際には気を付けないといけないものばかりです。Twitterでの投稿は「つぶやき」とも言われるように、つい自分とフォロワーにしか見えないひとりごとを呟いているように錯覚してしまう人も少なくはないと思います。
しかし、非公開設定をしていなければその呟きは世界中の人誰もが閲覧可能ですし、検索可能です。その事を絶対に忘れないようにしましょう。他にも細かいルールが存在しますので、ぜひTwitterのルールを今一度確認してみて下さいね。
拡散する前に気を付けて!内容の確認をしよう
自分のタイムラインに流れてくるツイート、面白い内容だったり、共感・感動したり、逆に意見を言いたかったり…そんな時には丸い矢印のマークを押して気軽にリツイートしますよね。リツイートは自分、または他人の投稿を一字一句変更せずにボタンひとつで紹介できるとても便利な機能です。しかし、リツイートをする際にその投稿の信ぴょう性や、その投稿がオリジナルのツイートであるかどうかを確認していますか?
Twitterでのウソの風評で大きな被害を招いた事例
実は、大量にリツイートされている記事(ネット用語で「バズっている」ツイートのこと)には、ツイートをした本人が意図的であるかそうでないかに関わらず嘘の情報を含む記事がまぎれていたり、アフィリエイト目的でリツイート数を稼ぐため、過去に別の人が発言した目を引くツイートを真似して投稿する「パクり」ツイートが少なくありません。
中でも悪質として話題になったのは、2016年熊本地震が起こった直後に「動物園からライオンが逃げた」と写真つきでツイートをした会社員の件でしょう。
本人はちょっとした悪ふざけのつもりでツイートしたもので、添付されたライオンの写真もよく見れば海外の写真である事が容易に分かるものでした。最初にリツイートをした人達は、この投稿がデマだと知っていてあたかも本当の話のようにリツイートをしました。
しかし、その先でこのツイートを見た人の中には投稿が本物だと信じて善意でリツイートする人も加わり、公的機関から「デマの情報だ」と正しい情報が発表される頃には該当の動物園には100件を超える問い合わせが殺到してしまいました。
地震の混乱の中、動物園はこの嘘によって余計な対応を取らざるを得なくなったという事です。大地震の恐怖の中に拡散されたこの非道なイタズラは「偽計業務妨害」(3年以下の懲役または50万円以下の罰金)の疑いが適用され、ツイート主の20代男性は逮捕されました。
情報によっては犯罪に加担したと見なされる場合も
さて、この上記の風評ツイートに関しては最初にツイートをした男性だけが逮捕される結果となりましたが、場合によってはリツイートしただけでも犯罪になる可能性がある事を知っていますか?リツイートしただけでも犯罪になってしまう恐れのあるものは、大きく分けて下記の通りです。
- 公職選挙法違反:選挙運動のメッセージをリツイートした場合、公職選挙法違反になることがあります。
- リベンジポルノ防止法違反:プライベートで所持している他者の性的な画像や動画が投稿された際、それをリツイートした場合リベンジポルノ防止法違反になることがあります。
- 児童ポルノ規制法違反:18歳未満の児童のわいせつな写真・動画やデータをリツイートした場合には児童ポルノ規制法違反になることがあります。
- 業務妨害罪:虚偽の噂などを流して他人の業務を妨害したり、威力を用いて他人の業務を妨害するような内容をリツイートした場合、業務妨害罪になる事があります。
- 名誉棄損罪:実名など、個人が特定できる状態での誹謗中傷投稿をリツイートした場合、名誉棄損罪になることがあります。内容によっては侮辱罪や信用毀損罪に当てはまる場合もあります。
このうち、ツイッターでの風評被害としてとても多く、リツイートした人の加害意識が低いのが「名誉棄損罪」。例え、対象の人物が風評を書かれるような事をした場合(書き込みが真実の場合)でも名誉棄損罪は成り立ちますので、リツイートをしただけでも名誉棄損に加担したと見なされます。面白半分でリツイートする事は絶対にやめましょう。
RTする前に一呼吸置き、情報の真偽を見極めることが大切
「この投稿が面白いから他の人にも見て欲しい!」「この投稿に載っている情報が有益そうだから見て欲しい」などと感じた時、ワンクリックで拡散を可能にできるリツイート機能はとても便利です。しかし、内容によっては悪意のあるイタズラに加担してしまったり、酷い場合は知らず知らずのうちに犯罪に加担してしまったりする場合もあるのです。
ツイッターでの風評被害というものはこのように、ただ周りにも見て欲しいと思っただけの悪意がない人も拡散に加わっているという事を知っておくとともに、自分もリツイートをする前に一度その情報が本当の情報なのかを調べてから拡散する癖をつけて置くことが大切です。
例えば、拡散する前に公式Twitterや公式サイトでも同じ情報が公開されているかどうか調べたり、その投稿のリプライ欄を確認したりする事が有効です。とくに災害関係の支援ツイートなら、公的機関のものをリツイートするようにしましょう。また、イタズラ目的のツイートやパクりツイートのリプライ欄には、他のユーザーからの指摘が返信されている場合が多く、少し遡っただけでもすぐにそのツイートの真偽を確かめる事ができます。
もしもTwitterで風評被害にあったらどうする?
もしも、自分や所属する企業の風評が拡散されたらどうすれば良いでしょうか。Twitter社は、各企業や個人の誹謗中傷などによる風評被害について積極的に調査や監視はしていません。もしもTwitterで風評が広まり炎上してしまった場合は、気付いた時点ですぐに対応をしなくてはいけません。
事実無根の風評で被害に遭った!投稿を削除する方法は?
他人のツイートで風評被害に遭った場合や誹謗中傷を受けた場合は、Twitterのヘルプセンターの「違反報告」に連絡をしましょう。
上の画像のようなフォームに、「何についての報告か」「被害を受けているのは誰か」「報告対象ツイートのURL」「問題の詳細」「報告者のアドレス」「報告者の名前」を記入して送信します。「報告対象ツイートのURL」は複数載せる事ができるので、風評ツイートが複数ある場合は一度に申請する事ができます。また、風評ツイートをした人が複数のアカウントを使っている事が分かっている場合は、「問題の詳細」の欄にその旨も記入しましょう。
twitter社に削除申請を出したら
フォームに必要事項を確認し送信すると、「報告者のアドレス」に入力したアドレスにTwitterから自動返信メールが届きます。そのメールの指示に従って本人確認書類を送信しましょう。本人確認書類として送信するのは、各種免許証やパスポート顔写真付きの公的な身分証明書となります。必ず有効期限内のものを使用して下さい。この方法で本人確認が完了し、Twitter社が報告のツイートをルールに違反していると判断した投稿については大体1週間前後で削除されます。
Twitter社に削除申請をしても「ユーザーの表現の自由」を理由に対応してもらえなかった場合は、SNSの削除に詳しい専門の業者や法的機関に相談してみましょう。最終手段として名誉毀損罪や侮辱罪などの犯罪に当てはまる事が証明されれば地方裁判所に「投稿内容削除の仮処分命令の申立」を行う事が出来ます。
仮処分の申し立てを個人で行う事は専門的な法知識がないと難しいので、金銭的に負担にはなってしまいますが信頼のおける弁護士に対応してもらうのが良いでしょう。
Twitter社では、世界各国からの法的削除請求の数値データを「Transparency report(透明性レポート)」として年に2回ずつ公開しています。
現在は2018年7~12月のデータが現在の最新として公開されており、日本の法的削除請求の回数は裁判所命令が16回、その他の法的要求が663回とされており、この合計値679回というのはトルコ、ロシアに次いで3番目に多い数値となります。
まとめ
場所や時間を問わず簡単にひとりごとを呟くことができるTwitter。その手軽さとユーザー数の多さ、誰にでもリプライを送れるという距離の近さなども相まって、何気ない呟きが風評被害・炎上に発展する事が多くあります。
さらに、自分は気を付けていても第三者からの悪口やイタズラが発端の風評被害が広まってしまう事も。もしもTwitterで事実無根の風評が投稿された場合は、気付いた時点ですぐに削除申請などの対応をしましょう。