デジタルタトゥーという言葉を聞いたことはありますか?スマートフォンが急速に普及して、私たちの生活とインターネットの世界はより密接につながり、ネットの世界が、私たちの生活に多種多様な恩恵をもたらすようになりました。
しかし、このデジタルタトゥーと呼ばれる、インターネット上に書き込まれ、拡散されて、刻まれてしまった、実社会にまでも影響を及ぼしてしまう情報をも生み出すことにもなりました。私たちの意識しないところで、拡散された情報が日常生活を脅かしてしまうこともあるのです。
デジタルタトゥーとは
デジタルタトゥーは、フアン・エンリケスという、メキシコ出身の研究者が行った講演の中で、触れられて注目されるようになりました。
逮捕歴がネットニュースなどに残りづつけてしまう
自分が過去に何らかの理由で、逮捕されたことがあったとします。新聞などのメディアは、逮捕があった事実を元に、記事を作成し、それがインターネット上にアップされます。
例えば、朝日新聞や、日本経済新聞などのWEBサイトは、サイトの効力が大きく、Googleなどの検索エンジンンにも上位表示される可能性が高いです。
もし逮捕された事実に対して冤罪であったことが立証されたとしても、ネット上に刻まれてしまった情報は残り続けてしまいます。
掲示板の誹謗中傷によるデジタルタトゥー
5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)や爆サイなど、オープンな掲示板上で、自分の名誉を傷つける発言や、会社の悪口を書き込まれてしまう場合があります。
掲示板は、匿名性の高い状況ゆえに、ネガティブな情報も自由に発言できる環境にあります。インターネットの普及黎明期と比較すれば、法律が整備されて、極端な誹謗中傷の書き込みは少なくなっています。
しかし一度、特定の個人や団体などに対して、ネガティブな発言がされると炎上につながりやすいという状態は、今も残っています。
拡散すると怖い、リベンジポルノ
リベンジポルノは「復讐ポルノ」と呼ばれ、別れた元交際相手や元配偶者が、復讐として、相手の性的な画像や動画を相手の許可なしに、インターネット上に公開することを指します。
画像を公開する加害者側は、仕返しや腹いせのために行いますが、画像を公開された被害者は、自身の名誉やプライバシーを大きく傷つけられます。
デジタルタトゥーが及ぼす影響や被害
インターネット上に拡散して、デジタルタトゥー化してしまった、情報は、ネット上だけでなく、私たちの生活にも徐々に影響を及ぼしてきます。
検索エンジンに個人名を入力して、検索をかけると、名前に紐づいた情報が瞬時に検索出来ます。もし、自分の名前が検索された時に、ネガティブな情報が表示されてしまったら、その情報が正しいかどうかに限らず、あなたの評判として、判断されてしまうのです。
会社や学校での評判・評価が落ちてしまう
会社や学校などで、あなたのことに興味をもって、検索エンジンで個人名を調べてみた人が、デジタルタトゥー化されてしまった、あなたのネガティブな情報を見つけてしまったら、どうでしょうか。
もし掲載されている情報が誤っていたとしても、インターネット上の情報が正しいと判断してしまうのが普通の反応です。情報が引き金となって、悪評が広まってしまい、退職や退学になってしまうケースも珍しくはないのです。
デジタルタトゥーによって就職や・結婚が不利に運ぶ
また、もし、ネガティブなデジタルタトゥーを見た人が、これから就職したい会社の人事担当者や、結婚相談所で出会った、これから付き合いたいと考えている異性だったとしたらどうでしょうか。
これまでのあなたの人柄を知ることなく、得られた情報からしか、あなたのことを判断することが出来ません。このような場合は、第一印象として、マイナスな印象を受け取ってしまうでしょう。
あなたの人としての本質と離れて、デジタルタトゥーが独り歩きして、マイナスの情報を人々に与えてしまうのです。
友人や家族からの信用を失う
自分が逮捕されてしまった情報が、検索エンジンに表示されてしまったとします。
例え、それが冤罪であったとしても、その情報を引き金に、自分の身の上 – 住所や、家族構成が公になってしまうことがあります。これによって、自分だけでなく、家族の勤め先がイタズラされてしまったり、抗議の連絡が届いてしまうこともあるのです。
デジタルタトゥーとして刻まれてしまった情報は、本人だけでなく、周囲にいる知人や家族にも波紋を投げかけます。
デジタルタトゥーのドラマがある?
デジタルタトゥーをテーマにしたドラマが、2019年の5月~6月の間にNHKで放送されました。元検事の弁護士と人気ユーチューバーがデジタルタトゥーに苦しむ人々を救うドラマです。
あらすじや見どころ
ドラマ「デジタル・タトゥー」の脚本を手掛けるのは、脚本家としてのキャリア20年を越えた浅野妙子さんです。普段は恋愛ものの作品を手掛けることが多い浅野さんですが、本作は、全く恋愛が絡まないサスペンス作品。
ネットでの評判を恐れて生きるしかない私たちの窮屈な社会を映しながら、堂々と生きていく術はないのか、現代社会の私たちの生き方を模索した末に、たどり着いた作品です。
検事を退職した弁護士である岩井堅太郎の元に、年に数千万を稼ぐユーチューバーであるタイガという若者が訪れます。
タイガはある動画がきっかけとなって炎上し、ある日、駅のホームで突き飛ばされたと言います。
アナログ人間の岩井と、ネット社会の申し子のようなタイガがタッグを組み、デジタルタトゥーによって傷ついた人々を救っていきます。
「デジタル・タトゥー」の制作陣・出演者は?
制作統括として、海辺潔。代表作品として「妻は、くノ一」「紙の月」「精霊の守り人」演出として、梶原登城、橋爪紳一朗。
出演俳優については、主役コンビとして、高橋克実(岩井役)と、瀬戸康史(タイガ役)が出演しています。デジタルタトゥーに苦しむ人々に関わっていくうちに世代も性格も違うこのコンビの間に、まるで親子のような心のつながりが芽生えていきます。
他には、岩井の娘役に唐田えりか、タイガの父である伊藤秀光役に伊武雅刀など、NHKドラマだけに、錚々たる顔ぶれで、ネット社会が作り出した新しい問題に立ち向かっていきます。
再放送について
デジタルタトゥーの作品を見たいと思ったらオンデマンドで配信されている動画を見るのが、手っ取り早い方法です。
「NHKオンデマンド」や「ユーネクスト」の動画配信で「デジタルタトゥー」の過去の放送を見ることが出来ます。通勤中にスマホやタブレットなどでも過去の放送を見ることが出来ますので、すぐ見たいと思いったら、これらの配信を利用すると良いでしょう。
またNHKの深夜枠で、再放送されていた時期もあります。今年の春に放映されたばかりの作品ですので、待っていればまた再放送する可能性は高いので、デジタルタトゥーの公式サイトなどを定期的にチェックしておきましょう。
デジタルタトゥーの消し方
誹謗中傷されてしまった傷跡として、半永久的にネット上に残り続けてしまうと捉えられているデジタルタトゥー。
しかし、全て削除できないというケースばかりではありません。サイトの運営者が、情報削除に対するルールを設けていたり、弁護士や、専門業者が介入することで、削除できる場合も多いのです。
デジタルタトゥーが残り続けることで、自分自身の名誉が脅かされてしまうこともありますので、可能な限り、有効な策を講じましょう。
サイト管理者に削除要請をする
インターネット上に、自分が誹謗中傷されてしまっている、デジタルタトゥーとなる発言を見つけた場合には、情報が掲載されているサイトの管理者に情報削除の要請を申請しましょう。
発信者の情報開示や、情報削除の請求について規定した「プロバイダ責任制限法」と呼ばれる法律があり、被害者とプロバイダはこれによって守られているのです。
投稿された内容を削除する申請は「送信防止措置」と呼ばれ、削除の申請を提出することで、発信者側からの反論が無ければ、情報は削除されます。
弁護士によるデジタルタトゥーの削除
もし、自分自身でデジタルタトゥーの削除を要請することが難しい場合、弁護士であれば、代わりに削除申請を提出することが出来ます。
弁護士は、得意とする専門領域があるため、依頼を検討している場合には、インターネット上の問題解決に強い弁護士を探しましょう。
業者に依頼する
WEB業者の中には、風評被害のデジタルタトゥーの消去や、風評を検索結果に表示させないよう、ネガティブ情報の押し下げを専門的に対応している業者が存在します。
これらの企業や風評被害に対する、独自のノウハウを持っているため、自分で情報を削除することが難しい場合には、このような業者へ連絡をしてみましょう。
まとめ
インタネット社会が進化し続ける限り、私たちはデジタルタトゥーが及ぼす影響から逃れられることは出来ません。
リスクを恐れて、インターネット上の発言に躊躇していては、ネット社会がもたらす新しい世界でのコミュニケーションを楽しむことは出来なくなります。それよりも被害を受けてしまったらどうするか、しっかり対処方法を理解して、賢くネット上を渡り歩いていきましょう。