ネガティブキャンペーンで誹謗中傷に当たる内容を書き込まれてしまったら、削除することは可能なのでしょうか。ネガティブキャンペーンが起こってしまうと、自分自身や自分が所属する団体などに対する、ネガティブな情報がインターネット上に蔓延してしまうことになります。キャンペーンを引き起こす人物は、相手の評判や名誉を貶めようと企てているケースが多いです。
火付け役のメンバーがネガティブな情報をひとたび投じると、中心人物の関係者だけでなく、インターネット上の一般ユーザーまでもが、対象となる人物や団体、サービスなどについて、プラスの印象を持ちづらくなります。評判が評判を呼び、ネガティブな情報が、ネガティブな情報を集める形で、悪い情報の負のスパイラルが起こります。
ネガティブキャンペーンには、どのようなケースがあるのか、実際にネガティブキャンペーンの被害に合ってしまったら、どのように対処すれば良いのか、紹介します。
ネガキャンは削除することは可能なのか?
ネガティブキャンペーンとして、インターネット上に書き込まれた情報を削除することは不可能ではありません。個人名や企業など、団体名のネームバリューを傷つける書き込みがされてしまった時に、放置してしまう状態が続いてしまうと、自身に関するブランド価値は下がる一方です。
放置しておくことで、状況が改善すれば良いのですが、ネガティブキャンペーンの場合には、何もしないことで、ネガティブ情報がインターネット上に蔓延していくことにもなりかねないのです。
ネガティブキャンペーンの火付け役となる、情報の発信者は、特定の人物や団体に対して、マイナスの感情を抱いています。キャンペーンの火種を見つけたら、早急に何らかの措置を取ることで2次被害を防ぐことにも繋がるのです。
ネガキャンとインターネットの誹謗中傷
ブログや掲示板・SNS内などで、特定の個人名や会社名等を取り上げて、ネガティブな発言を行って、相手方を傷つけるユーザーが存在します。ネット上の炎上事例は、2010年頃から、増加傾向にあります。
成人よりもネット上のマナー意識やリテラシーが至らない状態で、モラルに欠ける発言を行ってしまうことで、不用意に個人を中傷する結果に至ってしまったり、会社のブランドを傷つけてしまうと事態を招いてしまうこともあります。
ネット上のサービスが発達して、便利さが追及されて、情報発信・情報の享受が容易になっていく反面、誹謗中傷の問題が社会的な影響力を及ぼすまでに深刻化している状況も否めません。
ネガキャンとは?削除の必要がある誹謗中傷の内容
ネガティブキャンペーンは元々、選挙戦術の1つとして、扱われていました。自分が敵対視している相手の政策の欠点などを指摘、批判して、周囲に訴えかけることで、信頼を失わせることで、自分の立場を有利な状態に変えていきます。
選挙だけでなく、商品やサービスのイメージ戦略としてもネガティブキャンペーンは利用されることがあります。「中国産の食品は危険」などという文言を用いながら、国産の自社がすすめたい商品をアピールするなどという手法は、食品会社のPRでも用いられることがあります。
ネガティブキャンペーンは、効果的に行わないと、成果が出ずに、不利益を被ってしまうこもあります。相手を牽制するような発言を行うことで、相手方のイメージダウンが確実に起これば良いのですが、自分自身が世論の反発を受けてしまうことも珍しくありません。
インターネット上の掲示板などでもこの傾向はあります。誰かの名誉を低下させるような発言を繰り返し行うことで、相手のブランド力を失わせるユーザーがいます。誹謗中傷の発言を繰り返すことにより、いつか他のユーザーの標的の的になってしまったり、誹謗中傷の被害者側から訴えを起こされてしまうケースもあります。
ネガキャンの種類 ネットの情報削除の問題
インターネットの仕組みが進化を続けている反面、ネガティブキャンペーンも複雑化している状況があります。ネガティブキャンペーン、それ自体はインターネット上の事象ではなく、元々、リアルな場で行われる戦術として、存在していました。キャンペーンの種類や特徴について見ていきましょう。
政治でのネガキャン
ネガティブキャンペーンがよく行われて、効力を発揮するのは、やはり政治の局面においてです。アメリカでは選挙に勝つために積極的に行われていて、本人ではなく、間接的にキャンペーンを実行する「代理人」と呼ばれる役割もあります。
相手方のネガティブな情報をPRすることで、自分の名誉を向上させる方法を取るわけですから、キャンペーンには確固とした裏付けが必要です。客観的な根拠によって、相手が至らない点を突いて、説明責任を求めることは、見方を変えれば、民主的であるとも言えます。
アメリカでネガティブキャンペーンが、政治の戦略として利用される背景には、このような思想的なバックボーンが横たわっています。候補者本人がこのような、相手のあら探しを行うような行為をして、声高に主張したとしても、却って自分自身のイメージダウンに繋がってしまったり、自分自身の選挙活動に注力出来ない状態に陥ってしまいます。
代理人として、客観的な第3者がネガティブキャンペーンを行う仕組みが敷かれていることが、アメリカらしさとも言えます。
商品PRのためのネガキャン
商品PRの手法として、大々的に企業がネガティブキャンペーンを行うと、自社のイメージアップに繋がるよりも、消費者の反感を買ってしまうことが多いです。
自社の製品を大々的にPRしたい時に、競合の製品よりも優れているという点を伝えたい場合には間接的で、競合をピンポイントに絞り過ぎない表現でのキャンペーン手法が取られます。
「中国産の食品は国産の商品基準と違うから、こちらの食品の方が安全」と、大きく海外産と国産の商品を区分しながら、自分がPRしたい商品を買ってもらう、このようなアピール方法であれば、消費者の反感を買うことがありません。
比較する商品を絞り過ぎて、ネガティブな指摘をして価値を下げる主張をするのではなく、大きな分類の中で比較して、優れた点を伝える、このような手法は多かれ少なかれ、商品PRのシーンで使われています。
スポーツに関するネガキャン
スポーツの話題についてのネガティブキャンペーンは、インターネット上では盛んに行われています。スポーツ紙などの大きなメディアが、特定のチームやスポーツ選手を取り上げて、ポジティブではない情報を掲載することはありますが、日常的には、掲示板やSNS上の発言を通じて行われます。
名前をあげて、選手を中傷する内容を書き込んだとしたら、相手がスポーツ選手で、悪ふざけの書き込みであったとしても、法律的に、厳密に見ると、名誉棄損や侮辱罪に該当します。
選手が敵対している相手方のチームをどんなに応援していたとしても、インターネット上でスポーツに関するネガティブキャンペーンが湧きおこると、誹謗中傷の事例として、弁護士が対応する範疇に含まれるケースが多いです。
選挙や、商品PRとは違った形で、ファンから誹謗中傷の火種が起こるという点が、スポーツのネガティブキャンペーンの特徴です。
これもネガキャン?削除を検討すべきネット上の書き込み
「ネガティブキャンペーン」の言葉、それ自体は、特定の人物同士や、特定の団体同士を比較・調査して、ある基準をもとに、優劣を見極めて、一方の至らない点を誇大に取り上げる行為を表します。
オンラインゲームや、スマホアプリのユーザーレビューなどで、ネガティブなレビュー、口コミ、低評価の書き込みが連続して行われることがあります。ゲームやアプリの質が乏しく、ユーザーの生の声として、このようなネガティブな情報による、負の情報の連鎖が起こることがあります。
上のケースの場合には、情報の発信者が悪意を持っているとは限りません。規模の大小問わず、インターネット上でコンテンツを生み出し、情報発信を行う限りは、自然発生として起こる狭義のネガティブキャンペーンが起こってしまうリスクから完全に逃れることは難しいのです。
ネット上のネガキャンペーンの対応・削除申請
実際に、インターネット上で、ネガティブキャンペーンの被害に合ってしまったら、どのように対応すれば良いでしょうか。ネガティブキャンペーンが起こった時に、脅威となるのは、火種そのものよりも、波及効果です。
炎上が発生する時の初期の状態のように、小さく発生した誹謗中傷の火種が、第3者の発言、拡散によって、炎上の勢いに歯止めが効かなくなります。ネガティブキャンペーンの火種を作った情報の発信者は、悪意をもって、後ろ向きな発言を行います。
火種に便乗してくる第3者は、明確な悪意や、対象となる人や団体を傷つけようという強い意図を持っているわけではありません。一般的な世間の尺度から、情報の善し悪しを判断しているだけです。情報の発信者が、第3者のネガティブな反応を誘発するような発信の仕方を行う場合もあるため、少しでもネガティブキャンペーンを拡大させるような可能性のある火種を見つけたら、拡散を食い止めるために、早めのアクションを行いましょう。
ネガキャンを運用元に対しての削除申請する
掲示板やSNSなどに、ネガティブキャンペーンに該当する情報は書き込まれてしまった場合には、なるべく早く、運用元に対して、削除のリクエストを送信しましょう。
5chなどの掲示板サイトであれば、削除などのルールについても利用規約で定められています。情報削除についてのガイドラインも設けられていますので、これらのルールに則って、運用元に対してメールで必要事項を明記して、削除の申請を送ります。
サイトの利用規約によって、メールで申請したり、削除依頼フォームに申請を送ったり、方法は運用ルールによりますが、運用ルールに則って、削除依頼の胸旨を運用者に申請する、この点は変わりありません。
削除完了までの判断は、運用側で規定されているガイドラインなどの基準によって決まります。場合によっては、削除されなかったり、削除されるまでに、数か月の時間を要する場合があります。
自分の力だけで、削除の対応に当たろうとすると、自分の本来の仕事に力を注げなかったり、削除が完了するまでの間に、運用元とのやり取りに時間を取られたり、人的・時間的なコストが掛かってしまいます。
弁護士に依頼することで、これらの負担を軽減したり、削除の成功率を高めることも可能です。他にも法的な相談窓口として、法務局などに相談する手段も検討できます。
ネガキャンの削除と、発信者特定するための開示請求
ネガティブキャンペーンが起こり、誹謗中傷にあたる情報がインターネット上に蔓延し始めたら、冷静に問題を切り分けて対処する必要があります。
運用元に対する情報の削除は、発信者が書き込んだネガティブな情報をサイト管理者に対して、削除申請することです。削除申請を行うことで、掲示板やSNSに書き込まれた誹謗中傷を削除することが可能です。
誹謗中傷が起こってしまったことによる被害と、この削除申請は別個に考える必要があります。書き込まれてしまったネガティブな情報によって、自分自身や会社の名誉が低下する結果を招いてしまったり、誹謗中傷によって、自分の利益を損なってしまうなど、付随的に発生する被害があります。
情報を削除した後も、これらの被害の影響は残り続けてしまいます。自分が受けてしまった被害に対して、何らか相手方に訴求をしたい場合には、名誉棄損での賠償請求を立てるなど、法的な措置を講じる事も検討しましょう。
情報の発信者に対して、訴えを起こす場合には、まず相手方の情報を明らかにする必要があります。インターネット上では、自分の氏名や連絡先などを明かさずに発言を行うことで、言論の自由を最大限発揮することが出来ます。
発信者の情報特定を阻んでいる、この「匿名性」を解除するためには、「開示請求」と呼ばれる措置を取る必要があります。
- 発信者のIPアドレスを特定するための開示請求を行う
- IPアドレスから、プロバイダを特定する
- プロバイダに対して開示請求を行い、情報を特定する
開示請求は上の3ステップで進んでいきます。サイト管理者に対して、情報発信者のIPアドレスを開示するように請求します。IPアドレスが特定出来たら、その情報を元に、発信者が使用しているプロバイダを特定します。
IPサーチなどを利用することで、どのインターネットプロバイダを利用しているか、特定が可能です。
プロバイダが特定出来たら、最後にこのプロバイダに対して、再度開示請求を行い、発信者の氏名や住所・連絡先などの情報を取得します。
ネガキャン削除後の賠償請求
情報が特定出来て、名誉棄損などの権利侵害を立証できれば、相手方に慰謝料を請求することが可能です。名誉基礎の場合には、相場として、個人で10〜50万円、事業主の場合で、50〜100万円の慰謝料がもらえる可能性があります。
賠償の手続きに関しては、自分で行うよりも弁護士に依頼する方が、時間が拘束されることもなく、スムーズな解決が期待できます。法律の専門家に対応してもらうことで、自分の名誉を守り、適切な対処が図れるのです。
ネガキャンの波及を抑えるための誹謗中傷対策
誹謗中傷に値する情報が、申請によって削除出来ても、拡散された情報がGoogleなどの検索エンジンに残り、個人名や会社名で検索された時に、ネガティブな情報が上位表示される状態が続いてしまうことがあります。
検索エンジンは、個人名や企業名の口コミや評判をユーザーが求めている(ニーズの高い)情報として上位表示させる仕組みになっています。名前で検索した時に、過去に書き込まれたり、拡散された誹謗中傷が、検索上位に表示され続けてしまうのは、このようなアルゴリズムの影響による事象です。
ネガティブな情報が上位表示されないためには、検索エンジンに対して、誹謗中傷対策を行う必要があります。
インターネットの誹謗中傷対策を行っている会社がありますので、情報の削除や賠償請求と合わせて、こちらの対応も検討して、相談してみましょう。
まとめ│ネガキャンの削除は、対応の切り分けが重要
ネガキャンの削除は、サイトに対しての削除申請や、相手方に対しての賠償請求、検索エンジンに対してんの拡散防止などの誹謗中傷対策、など事象を切り分けて、適切に対処することが必要です。
ネガティブ情報の火種を見つけたら、早急に対処する程、情報拡散などによる2次被害の影響を小さくすることが出来ます。エゴサーチなどを行って、自分や会社に対しての後ろ向きな情報を発見したら、弁護士や法務局、誹謗中傷対策業者などに相談してみましょう。