日本におけるSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)の利用者は年々増加しており、2018年度で約7,500万人、普及率は75%程度となっています。東京オリンピックが開催される2020年には利用者が8,000万人弱になる見込みのようです。
そんなご時世、どうしても気になるのがSNSを発端とした炎上騒動です。
以前は特定の個人が炎上するケースが多かったですが、最近では企業の炎上騒動が多く発生し、世間からのバッシング、株価の低下や従業員の不信感、採用活動など企業活動に大きな影響を与えてしまっています。
ここでは令和の企業のSNS炎上の基本を解説すると共に、その対策と心構えについて解説します。
はじめに~そもそもSNS炎上とは~
そもそもSNSの炎上とは?という疑問ですが、TwitterやFacebook、Instagramの発言や投稿をきっかけにそのコメント欄に対応が不可能な量のコメントが殺到することを指しています。
最近ではだれでも気軽にSNSで情報発信ができるので、毎日のように何かしらの炎上が起きています。また、企業側のアクションが更なる炎上を誘発する例も起きています。
会社のSNS炎上がおこるきっかけ
会社のSNS炎上が起こるきっかけとしては下記が考えられます
- 企業、従業員の不祥事
- 誤解を招く発信
- 不適切な対応
企業、従業員の不祥事については炎上しても致し方なしという見方がありますが、実際に大きな炎上の例は、事件そのものよりも企業の対応によるものが多いです。
炎上の火種をつぶすことも重要ですが、世間に対して会社が適切な対応を取ることができるかも炎上対策の大きな要素です。
SNS炎上の3つのフェーズ
一般的に炎上は下記の3つのフェーズがあると言われています
- 1次炎上
- 2次炎上
- 3次炎上
SNS炎上対策においては2次炎上3次炎上をいかにして防ぐか?がポイントになってきます。
1次炎上
1次炎上とは炎上の発端となる出来事、いわゆる火種です。
主要なものでは、不祥事に関わるニュース、バイトテロと言われる従業員の不適切な行動、企業アカウントからの発信が挙げられます。
正直なところ、この1次炎上を防ぐことはほぼ100%不可能に近いです。
最近ではアンパンマンの技であるアンパンチが炎上したり、誰かの正義感に触れてしまえばどんなことでも火種に炎上の火種になってしまうのが恐ろしいところです
2次、3次炎上
会社のSNS炎上において最も重要になるのが2次、3次炎上を防ぐことです。
2次、3次炎上はTVや新聞などのマスメディアに取り上げられ、株価や採用、取引に影響が出ることを指すことが多いです。企業の大きなイメージダウンにつながってしまうので一番注意して対策を行うべきフェーズです。
1次炎上だけではSNSの世界の中で完結することも多いので、企業側の適切な判断と行動が求められます。
実際にSNS炎上が起きた際のおすすめの対策
では実際にSNS炎上が起きてしまったら会社はどのような対策を取るべきなのでしょうか?
一概にこれが正解という方法はなく、ケースバイケースで対応すべきなのですが、ここではおすすめの対策方法を紹介します。
1次炎上の火種を速やかに特定する
まずは1次炎上の要因になっている発信や投稿を突き止めることが先決です。
WEBの担当者がいるのであればその担当者、いないのであれば外部のSNSモニタリング業者にあらかじめ委託しておくのがベターです。
火種の内容の性質のよって今後の対応を考える必要があります。
企業として対応するかどうかを見極める
次にそれに対して「企業として対応する必要があるかどうか」を見極めることが重要です。
安易に削除対応などを行ってしまうとそれが更なる炎上の火種となってしまいます。かといって放置をしていると拡散が止まらない場合があります。
弁護士等の法律の専門家とも別領域の考え方が必要になってくるので、SNSレピュテーションの専門家と事前に繋がっておく必要があります。
真摯に謝罪を行う
一番大事なのがこの部分です。
SNS炎上では法律とは別ベクトルの正義が働いている場合がほとんどです。
なので「法的には問題ない」「社内規則に乗っ取った判断」などと言い訳を挟んでしまうと火に油を注ぐ結果となってしまいます。
余計な弁明をせずに世間に向けて真摯に謝罪を行う企業の姿勢が求められます。
SNS炎上を起こさせない仕組みづくり
現実ではSNS炎上が起きてからの対応では後手後手に回ってしまうことが多いです。
いつどこで1次炎上が起きるかどうかわからない世の中なので、しっかりとした事前対策が大切です。
SNSガイドラインの策定
まずはSNS運用のためのガイドラインを設定し、運用するすべての担当者への研修を行いましょう。
NHKでは、2016年頃から「SNSでフォローをしたユーザーに対して、フォローをし返すことをしない」というガイドラインを制定
理由は「NHK以外のアカウントをフォローすることは、そのアカウントの情報に対する支持と同じである」と批判を受けたためです。こうしたルールを取り決めておけば、トラブルを回避することができ、SNSの運用担当者ごとに対応が違うといった問題の発生も防ぐことが可能です。
またSNSを運用する中で発生したユーザーとのトラブルも、ガイドラインを設けておくことで冷静に対処することができます。
SNSは多くの人の目につくだけでなく、それぞれの情報に対するリアクションが可能の為、炎上とは言わずとも一般ユーザーから批判や否定的な意見が来ることもあります。そうした場合への対処方法をしっかり明記し、企業と担当者間の意思疎通がしっかりと取れる体制を整えておくことで、炎上を未然に防ぐことが可能です。
一般社員への研修の実施
一般社員の発言や投稿も炎上に繋がる大きな要素になる可能性があります。有名なところだと1年ほど前に多発したバイトテロが記憶に新しいです。
特にデジタルネイティブと呼ばれる若い世代は今自分の身の回りで起きている出来事リアルタイムで発信することに抵抗感がない特徴を持っています。
学生のアルバイトや新入社員には適切な研修を入社時に行い、未然にリスクを回避する姿勢が企業に求められています。
経営層や管理職世代はSNSを利用している人が少なく、これまでの価値観で対応をしてしまい炎上に繋がるケースも見られます。時代が大きく変わっていることを、このような属性の人たちにも伝えなければなりません。
投稿内容の監視
SNSガイドラインを設定し、研修で遵守を徹底させたとしても、最終的に投稿するのは個人の判断です。社内教育をしっかりしていたにも関わらず、炎上に繋がる投稿があるかもしれません。
手軽に発信できるのがSNSの特徴でもありますが、同時に発信から企業のイメージも簡単に左右されてしまいます。企業のイメージダウンとならないよう、発信する前に防げる対策をとっていきましょう。
そこで、SNS上で、自社に関するマイナスな投稿がされていないかを常に監視することが非常に有効です。
ただし、膨大な量の投稿を監視するには時間も人数も必要なため、SNS上での監視を専門に行なっている会社に依頼することがベターです。炎上を未然に防ぐ対策をアドバイスしてくれることもあるのでおすすめです。
まとめ
会社のSNS炎上には2次3次炎上をいかに防ぐかを考えて、対策を打っていくことがおすすめです。
そのためにはSNS炎上がいかにして発生するかを理解し、ガイドラインの策定や研修を行い、投稿内容の監視を行いましょう。全て自社内で完結させるのは非常に難しいため、レピュテーションマネジメントの専門家のアドバイスを受けることをおすすめします。