2ch(2ch.sc)や5ch(旧2ちゃんねる)で削除依頼を出す際、それぞれの掲示板では依頼の仕方が異なる事は知っていますか?本記事では、「誹謗中傷や個人情報を書かれて削除依頼を出したいけど、削除依頼板の使い方がわからない」という方向けに、2種類の掲示板の削除依頼方法や細かいルールの違いを紹介します。
2種類の「2ちゃんねる」とは?
元々機能していた「2ちゃんねる」は、現在は2ch(2ch.sc)と5ch(旧2ちゃんねる)という別の2つの掲示板として機能しています。見た目はそっくりですが、2ch(2ch.sc)はPACKET MONSTER INC.というシンガポールの法人が、5ch(旧2ちゃんねる)はLoki Technology, Inc.というフィリピンの法人が運営しています。
元々の「2ちゃんねる」は現在「5ちゃんねる」と呼ばれている方で、2ch.scは元々の「2ちゃんねる」を設立した方が新たに設立した掲示板となります。2ch.scでは5chで立てられたスレッドの情報を定期的に取得して表示しているだけでなく、2ch.scオリジナルで作成されたスレッドも存在しています。
運営元が違うため、転載の可否などを含む利用規約だけではなく、削除依頼の方法も細かいルールが違っています。
パロディサイトやまとめサイト・過去ログサイトの存在にも注意
本記事では、2chや5chの削除依頼板について後述しますが、これらの掲示板に関連するパロディサイト(「おーぷん2ちゃんねる」など)やまとめサイト、過去ログサイトに関してはそれぞれの規約に沿って適した場所に削除申請を行う必要があります。元の掲示板の書き込みを削除しても、過去ログサイトなどからは消えない場合もありますので注意しましょう。
2chや5chの過去ログを削除する場合は、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
2chや5chに誹謗中傷投稿がされやすいのはなぜ?
2chや5chといった掲示板は、完全な匿名掲示板ではないものの、基本的には書き込んだ人が分からない、「ある程度」の匿名性が保証された掲示板となります。そのため、法的な手続きを取らない限り、または本人が自分で証明しない限りは誰が書いているのかわかりません。そのため、自分が思っている事を善悪に囚われずに書き込んでしまいやすいと言えます。
2chや5chで削除できるのはどういった書き込みなのか
2chなどで自分の事を書き込まれてしまったら、不特定多数の人に見られてしまったり、他のサイトやSNSに転載されてしまったりする恐れがあります。また、2chと5chはそれぞれ独立した掲示板ですが、同じ内容が掲載されている場合が多いため、片方で風評や個人情報が見つかったら念のためもう片方にも同じスレッドがないかしっかり確認し、見つかった場合はどちらの掲示板に対しても削除申請を行いましょう。
しかし、消したいと思った書き込みが全て消せる訳ではありません。一体、どういった内容の投稿なら削除できるのでしょうか。それぞれのルールを確認してみましょう。
5ch(旧2ちゃんねる)の場合
5chで定められている「5ちゃんねる削除体制」を見てみましょう。削除基準について、このように記されています。
【削除判断基準】
・権利侵害とは何か。
法的保護に値する利益を侵害すること、をいう。法的保護に値する利益は、時代とともに、変化するものである。以下は、一般的に裁判上も認められている利益である。
・削除は、リクエストのあった記事について、対応の可否を判断するものとする。
- 名誉
個人ないし法人の社会的評価を低下させる事実を摘示するもの。 - プライバシー
人の名前(イニシャル等であっても、個人の特定)、住所、家族の名前、電話番号等の組み合わせで、個人のプライバシーを侵害していると判断できるもの。 - 平穏に生活する利益
他人に危害を加えることを予告するもの。
悪質な殺害予告については、掲示板上で公開することがある。 - 社会に害悪が生じる現実的危険性がある情報
例えば、爆弾を製造する方法、薬物の売買をうかがわせる情報
犯罪に関する情報及び法人に関する情報の場合は、原則として、裁判手続きによって仮処分を取得して、司法判断を待つことにする。
引用:5ちゃんねる削除体制
また、双方の掲示板では、それぞれのガイドラインがあります。「2ch.sc 削除ガイドライン」と「5ちゃんねる 削除ガイドライン」のふたつの内容はほぼ同じですが違っている場所もあるので、依頼をする際はそれぞれのガイドラインを混同しないように注意し、しっかりと読み込むようにして下さい。削除フォームの注意書きについても同様ですので間違えないようにしましょう。
削除依頼を見たそれぞれの削除人は、このガイドラインに沿って削除可能かどうかが判断します。その中でも、一部のより悪質な書き込みについては「重要削除事項対象」とされており、優先的に削除してもらえる可能性が高くなります。重要削除対象は下記の8項目となります。(以下は2chのガイドラインを参考としますが、この項目については5chも同内容となります)
- 個人名・住所・所属
外部から確認できない・責任や事象に無関係な情報であり、誹謗中傷の個人特定が目的である・文意により攻撃目的である等の場合。 - 電話番号
一部伏字・それを示唆するような文字列・等も含む。かつ、番号が公的なものではなく、投稿したのが本人ではない場合。 - メールアドレス
騙りの可能性や悪意が明らかで攻撃を目的としている・趣旨説明が無く衆目に晒すことを目的としている・等の場合は荒らし依頼と見なし削除対象。 - 誹謗中傷
個人を完全に特定する情報を伴っているものは削除対象。しかし、板の趣旨に則した公益性が有る事象・直接の関係者や被害者による事実関係の記述・等が含まれたものは不可。 - 私生活情報
情報価値が無く、私事のみの情報・第三者の確認できないプライベート情報のこと。個人が完全に特定されなくても、対象者に不利益が発生する可能性があるもの。 - 差別・蔑視
人権問題板や政治思想板といった専用の板以外で差別発言・蔑視的思想発言を書き込んだ場合。また、専用の板を含めても差別・蔑視の意図がある地域名または苗字等の書き込みは、その真偽を問わず削除対象。 - 荒らし依頼
荒らしや迷惑をかけることを目的としている・客観的な説明が無い・板の趣旨に合った情報価値が無い・等のURL表記・リンク。 - 判決・仮処分の決定など
裁判所より削除の判断が出た書き込みは削除対象。
簡単にまとめると、プライバシーの侵害・名誉毀損・侮辱に当てはまるものや人権の侵害をするような行為、掲示板の秩序を根本的に乱すような荒らし依頼が重要削除事項として挙げられています。個人情報は削除されやすいですが、誹謗中傷に関しては削除判断に至る条件が厳しく、事実が伴っている場合は削除が難しい場合もあります。裁判所で仮処分の判断が下った場合は全て削除の対象になるので、絶対に削除したい場合は最終的に法的手段に出る事も考えておきましょう。
2chや5chの削除依頼板に削除依頼を送る方法
2ch.scと5ちゃんねるには2種類の削除版があります。本記事で「重要削除対象」と紹介した8項目に当てはまる削除依頼は専用の「削除要請板」へ、当てはまらないがガイドラインに違反している場合は通常の「削除整理板」へ依頼します。
削除要請板(https://macaron.2ch.sc/saku2/)
削除整理板(http://macaron.2ch.sc/saku/index2.html)
削除要請板(https://qb5.5ch.net/saku2ch/index2.html)
削除整理板(https://qb5.5ch.net/saku/index2.html)
削除ガイドラインで一部特殊な扱いになっている依頼者(法人や芸能人・著名人、公人など)に関しては、「削除要請板」からの申請になります。削除依頼方法については細かい違いがいくつかあるため、それぞれに解説していきます。
2ch(2ch.sc)の削除依頼方法
2ch.scでの削除依頼方法を詳しく見ていきましょう。
削除フォームは、ページの最下部にあります。記入事項を詳しく解説していきます。
- 削除区分・申請者/部署
削除したい書き込み対象の区分を記入します。記入する名前は必ずしも本名である必要はないとされていますが、依頼者の確認が必要な場合は正確な情報が必要なので注意しましょう。法人や団体の場合、身分を確認できる情報が必要なため、部署や役職などもしっかりと記入します。区分が間違っているだけでも削除不可になりますので、間違えないように記入して下さい。 - メール
フリーメールのアドレスでも可能ですが、名前と同じように依頼者の確認が必要な場合は正確な情報が必要なので注意してください。 - 法人名/団体名
法人・団体からの依頼では必須で記入しなければいけない情報です。依頼スレッドのタイトルになるため間違いのないように記入して下さい。 - 依頼の理由 詳細・その他
「削除対象アドレス」と「削除理由/詳細」を記入します。依頼対象のURLはガイドラインに沿って正しく記入して下さい。削除理由に関しては、ガイドラインやFAQ、利用規約、基本の注意事項を熟読し、どの部分がどう違反しているのか明確に記入して下さい。 - 注意
2ch.scでの削除依頼は、「削除要請板 スレッド一覧」や「削除整理板 スレッド一覧」で公開されますので、予め理解しておきましょう。
5ちゃんねる(旧2ちゃんねる)の削除依頼方法
5chでは、権利を侵害されている本人や法定代理人の場合はメール(meiyokison@5ch.net)で削除を申請する事ができます。メールを送る際には下記のフォーマットに沿って送ってください。
記載の理由や送付した資料に沿って削除が可能かどうかが判断されます。5chにも削除申請用のフォームはありますが、誹謗中傷などを受けた本人が申請する場合は、まずメールにて申請してみるのが良いでしょう。
削除依頼板を利用する場合の注意点も以下に記載しておきます。
基本的な見た目は2ch.scの削除板と同じですが、フォームの部分が少し細かくなっているのが5chの「削除要請板」「削除整理板」です。
2ch.scの削除依頼板との主な違い
- 対象区分が「個人・三種」に入る場合も、警察にすでに相談中の場合は「削除要請板」から申請する。
- 依頼者が裁判所により削除命令の判決を受けた当事者だった場合は、対象区分を「法人/団体」にし、「法人名/団体名」の欄に地裁名と事件番号を記入したうえで、国内有料サーバーに判決文・決定をpdf形式にてアップロードし、「削除理由」の欄にURLを記入する。
- 誤って削除依頼に削除対象の文言を転載してしまった場合、削除依頼板スレッドに載ってしまった(自分で載せてしまった)誹謗中傷に関しては削除不可。
- 権利侵害などで削除申請より先に警察への相談した場合は、その詳細も記入。
- 記入するメールアドレスは、フリーメールでも申請自体は可能だが、とくに法人として申請する場合はしっかり会社のアドレスを記入する事が望ましい。(再申請になる場合がある)
- URLを記入するときは、必ずPCのアドレスを入力しなければいけない。スマホ版はURLが違うため、そちらで申請すると即却下・再申請となる。
削除人はボランティア
自分の誹謗中傷を早く削除したいという思いが強すぎると、つい削除依頼の文章が厳しい文体になってしまったり、削除依頼を出しているのに反応や対応が遅いと感じてしまったりするものです。しかし、そこはいったん落ち着いて、読む相手がどう思うか考えながら出来る限り丁寧に「お願い」するように気を付けてください。基本的には感情で結果を変える事はありませんが相手も人間ですので、言葉遣いが悪い場合は削除されない事もあります。
2chや5chで削除作業をしてくれているのは、基本的に管理人から権限を与えられたボランティアの人たちとなります。削除できる権限を与えられている人は複数人存在していますが、各々に私生活があり、掲示板の削除を行う事は義務ではない事は覚えておきましょう。また、投稿の削除可否に関して、どちらになっても判断した削除人に責任はありません。
2ch・5chに送った削除依頼が却下されたとき
「折角申請を送ったのに、削除人から却下の返事が来た」または、「再申請の指示が来た」など、削除不可となってしまった場合や、削除の可否についての返答も貰えなかった場合の対処法を記載していきます。
削除依頼板のルールをもう一度見直してみよう
却下の理由として、ガイドラインの内容との相違などが多く見られます。削除依頼板を見てくれた削除人から次のような返信が来る事があります。
まずは、以下の項目を今一度見直してみて下さい。削除人から理由を示された場合は、有難くそのアドバイスに従って申請し直しましょう。
- ガイドラインに沿って依頼をしているか
- フォームに必要な情報を正しく入力したか
- 言葉遣いは適切か
- 削除理由やその根拠を明確にし、削除人が迷わないように説明出来ているか
依頼を送信してから2週間以上、削除も返答も却下もされなかった場合のみ、2chと5chどちらも専用のアドレスから連絡可となっています。この連絡を行う際はどちらのサイトもフリーメールのアドレスは不可となります。
弁護士に依頼する場合
弁護士に依頼して、裁判所の仮処分決定を受ける事ができれば、どちらの掲示板でも削除が可能です。2chの場合は「削除要請板」で区分を「判決/命令」にする手順で、5chの場合はメールにて弁護士から削除仮処分決定の正本を送ってもらいましょう。裁判関係の書類は法律の詳しい知識が必要になるため、法律の専門家に依頼するのが安心です。また、問題を根本から解決するために書き込みの犯人を特定して訴える場合も、弁護士に依頼するのが良いでしょう。弁護士に依頼する際は、インターネットのトラブルに詳しい弁護士に相談するようにして下さい。
誹謗中傷対策会社に依頼する場合
書き込みが違法とは認められず、弁護士に依頼して法的に削除することが難しい場合、誹謗中傷対策会社に依頼して逆SEOなどの手法を使って検索されにくくなるようにする方法を検討してみても良いでしょう。予算に合わせてプランを考えてくれる業者もいるので、弁護士へ依頼する予算がつかない場合に利用を検討される事も多いようです。インターネットでのトラブル対策を行う会社は多く存在しますが、無理のない対策をしてくれる所を選びましょう。また、誹謗中傷対策会社は弁護士と違って「削除代行」は出来ませんので、削除を行うと明言しているような会社は避けた方が良いでしょう。どんな対策を行うのかしっかりとヒアリングをするようにして下さいね。
緊急性の高い場合や被害届を出す場合は警察へ!
個人情報の中でも、例えば現在住んでいる住所を掲載されてしまったなど、危険な書き込みをされてしまった場合や、深刻なネットストーカー被害に遭っている場合、2chや5chで脅しに遭った場合などは削除依頼を送信する前にまず警察に相談しましょう。すぐに対処が必要なら最寄りの警察署や110番へ通報して下さい。
専門知識が必要な場合は、インターネットのトラブルならサイバーポリスへ通報する事も有効です。サイバー犯罪の窓口は各都道府県別に用意されています。「都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口等一覧」から自分の住んでいる都道府県の警察窓口を確認し、通報して下さい。
まとめ|2chと5chは削除依頼板のルールが違う!混同しないように注意しよう
2chと5ch、2つの掲示板は、2chの方が5chからデータを引っ張ってきているため、同じ内容が掲載されますが、運営元も違う別々の掲示板です。書き込まれた内容を削除したい場合は双方のルールに従ってそれぞれに削除依頼を出す必要があります。削除依頼板からの削除方法が違うため、混同しないように注意しましょう。
また、削除依頼の際はフォーム・メールどちらを利用する場合にしてもしっかりガイドラインを読み込んだ上で手順や送信内容に間違いのないようにする事が大切です。掲示板の削除人はボランティアで行ってくれている方たちである事も忘れず、丁寧な言葉遣いでお願いする事も忘れないようにしましょう。
どうしても個人で削除する事が難しい場合や犯人を訴えたい場合は、専門的な法律の知識が必要なため弁護士に相談するのが良いでしょう。書き込まれた内容が法律的にも削除不可能な場合は誹謗中傷対策会社に相談してみる事もオススメです。書き込まれた内容が深刻な場合や緊急性の高い場合、自分の身の危険に繋がる場合はまず警察に通報して下さい。