誹謗中傷の加害者はどのように考えて、書き込みを行うのでしょうか。インターネットで人権侵害の報告件数が年々増加しています。ネットの世界は日々、進化を続けて、情報を発する発信者と、発信された情報を受け取る受信者の距離がますます近くなり、不特定多数のユーザーが、特定の議論について、ネット上でディスカッションすることは容易に可能で、そのスピードはますます早くなっています。
ユーザーの発言が誹謗中傷となり、炎上に発展するニュースは、跡が立ちません。要因として、発信の容易さ、発言を行うユーザーのマナー意識に差があること、SNS上や掲示板サイトなどでの拡散力が増していて、twitter上での発言が、掲示板や他のサイトなどでも取り上げられ、炎上を加速させている状況が挙げられます。
誹謗中傷を起こしてしまう加害者側の心理
インターネット上では、実名を明かすことなく、特定の人物や会社などについて、自由に発言することが出来ます。またSNS上でも、人の発言に対して自由にコメントを行うことが出来ます。
悪意がなくとも、ネット上でネガティブな発言を行ったり、誰かの発言に便乗してしまうことで、結果的に誹謗中傷となってしまうことがあります。
誹謗中傷は匿名の発言によって、加害者側となる
日ごろからストレスや怒りを感じていて、それを日常生活でうまく消化できな状態に陥ることがあります。インターネット上で正義感を振りかざして、誰かを罵倒することで、当たり散らして炎上に発展する場合があります。
文字情報だけで、相手を傷つけてしまうという感覚を感じずらく、あとで問題に発展することが多いのです。
ネットの向こう側に多くの人が情報を見ている、ということを忘れずにおきましょう。
妬みを抱えていて、誹謗中傷の加害者に回ってしまう
インターネット上の場合、憧れがすこし湾曲した感情を生み出すケースもあります。稼いでいる人やかっこいい人、利権を持っている人に対して「いいよね、私はこんなに苦労しているのに」と当たってストレスを解消したり、快楽を得たりする方も少なからずいます。
ただ難しいのが、他の人をけなしているからといって、その人が必ずしもその人のことが嫌いであるとは限らないということです。
加害者は負けず嫌いで、誹謗中傷を行ってしまう
インターネット上で自分よりすごいと思っている方に対して、負けたくない気持ちからその人を貶めるためにいろいろと詮索したり、言及したりするという方もいます。
またその人の悪いところや弱みを突くことで、自分を強く見せたり、優位に見せることができるので批判というものはとても便利です。インターネットの場合は簡単にこれを実現することが出来てしまうのです。
誹謗中傷の加害者の情報は「開示請求」で明るみに!
インターネット上では、アカウント名や、ニックネームさえ登録すれば、個人を特定する必要はなく、何でも発言できる。だから、ネガティブなことも自由に発言して良い、ついそのように考えてしまいがちです。
SNSなどに登録する場合には、個人情報を入力する必要がありますし、ネットに接続する場合には、PC端末にIPアドレスが割り振られます。
これらは、プロバイダ責任制限法という法律によって、サイト管理者は情報開示を求められた場合には、情報を明かす義務があるのです。
開示請求とは?誹謗中傷の加害者の情報を特定手段
開示請求は、誹謗中傷の加害者である、発信者の情報を特定するための手続きです。発信者の名前や住所、メールアドレスなどの情報を開示するように請求することが出来るのです。また、発信者のIPアドレスなども開示するよう求めることが出来ます。
サイトの管理者や、インターネットの接続環境を提供しているプロバイダなどに対して、開示請求を申請することで、発信者の情報を取得できます。
wi-fiを経由させれば、誹謗中傷の加害者のIPは記録されない?
少し知恵を働かせると、特定のIPアドレスが記録されないように、Wi-fiを経由して、動的IPアドレスで、都度IPアドレスを変えて、誹謗中傷を書き込めば、自分が書き込んだということがサイト管理者に通知されないのではないかと考えることもできます。
しかし、サイト側に記録されたIPアドレスをもとに、被害者がプロバイダ側に開示請求を行うことで、プロバイダ側が、ネットの利用者として登録された加害者の情報を開示することで、発信者の情報が開示されるのです。
誹謗中傷の加害者がプロキシサーバーを経由させていたら?
それでは、自分のIPアドレスを明かさないように、接続時のIPアドレスを隠すことが出来る、プロキシサーバーを経由させて、同じようにIPアドレスを変えることも考えられます。
プロキシサーバー経由して、ネットワーク内におけるインターネットの出入り口を限定することで、通信内容を一括してサーバー側でチェックすることが可能です。
しかし、この場合にも厳密には、サーバー上にどこから接続されたかという情報が通信ログとして記録されているため、開示請求によって、これらの情報も開示することは可能なのです。
誹謗中傷の加害者は、どのような罪に問われるの?
もし、ネット上でネガティブな発言をして、それらが誹謗中傷だとみなされてしまった場合、加害者とみなされて罪に問われてしまうこともあります。
状況に応じて、以下の罪で訴えられたしまうこともあるため、日ごろの発言には、十分注意しましょう。
「名誉毀損」誹謗中傷による社会的地位の低下
例えば「〇〇には前科がある」「〇〇は浮気している」など、実名をあげて、相手の社会的地位を低下させてしまうような発言を行うと、名誉棄損に該当します。
「侮辱」誹謗中傷の加害者側が根拠なく罵った場合
名誉毀損と異なり、事実の提示なしに、相手を罵るような発言を行うことは、無事辱罪に当たります。「〇〇はブスだ」「〇〇の言うことは嘘ばかり」など、根拠なく、ネガティブな言葉を発してしまうと、相手から、訴えられる可能性があります。
「プライバシー侵害」も誹謗中傷に当たる
例えば、SNSや動画サイトなどに、自分の顔が映った写真を無断で掲載する「フォトハラ」などは、「プライバシー侵害」とされ、これも誹謗中傷に当たります。
誹謗中傷をめぐって、裁判となってしまう場合
自分が発信した情報に対して、相手方が誹謗中傷と捉えて、トラブルに発展してしまうと、裁判に発展する場合があります。悪ふざけのつもりが、いつの間にか誹謗中傷の加害者側に回り、非常に重たい罪を背負うこともあり得るのです。
誹謗中傷の加害者は慰謝料を請求される
誹謗中傷の内容が、名誉棄損にあたり、慰謝料を請求された場合には、50万円以下、相手が事業主の場合には100万円以下、請求されてしまいます。
侮辱によって、慰謝料を請求されてしまった場合にも10万円以下、プライバシーの侵害の場合には、50万円以下、請求されます。
誹謗中傷が刑事事件となり、加害者として逮捕されることも
誹謗中傷の加害者となってしまい、相手側から、刑事告訴されてしまうと、逮捕されてしまうこともあります。
もし、情報を発信した時点で、悪意がなかったとしても、相手の名誉が傷つき、罪に問われてしまうと、最悪のケース、犯罪者として扱われて、前科がついてしまうことになります。
誹謗中傷の加害者になってしまったら「示談」を検討
加害者側が被害者側に賠償金を支払うことで、和解する方法が「示談」です。裁判になってしまったとしたら、その段階で示談の検討をすることも考えておいたほうが良いのです。
加害者として扱われて、前科がついてしまうと、自分の人生に大きな傷跡を残すことになります。示談交渉によって、相手方と和解を成立させることが出来れば、罪に問われてしまうことも免れます。
まとめ│誹謗中傷の加害者に回らないように注意
インターネット上の誹謗中傷の問題は根が深く、自分が中傷の火種を作ったのではなく、誰かのネガティブな書き込みに便乗して議論が発展したり、炎上してしまった場合にも、当事者として、訴えを起こされてしまう場合があります。
ネットでの発言が便利になってしまうと、ネットの向こう側に情報を受信する相手がいることに鈍感になってしまうことがあります。日ごろから、発言にはマナーを心がけて、トラブルの引き金とならぬように注意しましょう。