TOPページには日ごとに異なる写真が表示され、オシャレなイメージもあるBing。GoogleやYahoo!と比べると少しマイナーと捉えられがちですが、国内でも利用者は増加しています。本記事では、Bingのサジェスト枠に事実無根のネガティブワードが表示されてしまった際の削除申請方法や、もしも削除出来なかった時の対策方法を紹介しています。
Bingとはどんな検索エンジンなのか
Bingとは、Microsoft社が提供する検索エンジンの事で、リリース時のコンセプトは「ユーザーの意思決定を支援する次世代検索サービス」と掲げられています。旧名称でもある「MNSサーチ」や「Windows Live サーチ」としての歴史もありますが、この名称としては2010年に日本語版での正式サービスが提供開始になった、比較的新しい検索エンジンと言えます。
Bingは世界的に見ると世界で2位のシェア率
2018年12月~2019年12月の検索エンジンシェア率(世界)
2018年12月~2019年12月の検索エンジンシェア率(日本)
世界でのシェア率を見てみると、2019年12月のデータでGoogleが92.95%と圧倒的な数値を出しており他は同じくらいに見えますが、bingが2.32%、続いてYahoo!が1.6%となり、Bingのシェア率の方が上だと分かります。
日本では、あまり利用されていないように感じるBingのシェア率。国内ではGoogleが74.11%、Yahoo!が20.31%の中、bingは5.1%とやはり数字だけ見ると少なく感じますが、グラフを見ると分かるようにBingの日本でのシェア率は一年を通してみると増加傾向にある事が分かります。
理由のひとつとしては、2020年1月のWindows 7サポート終了に伴うWindows 10のシェア増加と言われています。Windows 10に標準搭載されているブラウザ「Microsoft Edge」がデフォルトの検索エンジンとして同社の検索エンジンであるBingを採用しているため、そのまま利用している人もいます。日本の一般的な企業で導入するパソコンは現在も多くがWindowsのパソコンと利用されているので、とくにBtoBの企業はBingの検索結果も見逃せないのではないでしょうか。
Bingの「サジェスト」ってなに?
検索したい語句をフォームに入力すると、自動で関連する語句を表示してくれるサジェスト機能。Bingでは「検索候補」や「オートサジェスト」とも呼ばれています。検索フォームに入力したワードと関連性のあるワードを自動で表示してくれるため、ユーザーにとっては検索にかかる時間の短縮に繋がったり、自分の知らない語句を詳しく調べられたりと大きくメリットのある機能と言えます。
Bingサジェストにネガティブワードが出現するとおこる2つの問題
Bingサジェストにネガティブなワードが表示されていると、企業にとってどんな被害があるのでしょうか?大きく2つのポイントに絞って解説したいと思います。
商品のブランドイメージが低下する
何か気になる商品やサービスについて詳しく知りたいとき、検索フォームに「〇〇(商品名)」と入れたら、サジェストに「〇〇 効果ない」などと表示されたらどう思いますか?その時点では信じないかもしれませんが、クリックしたくなりませんか?
クリック先で検索結果に表示されるサイトは、必然的に商品の悪口が書かれたサイトや悪評の多い口コミサイトが多くなりますし、そもそもサジェストにネガティブなワードが表示されるような商品って大丈夫なの?と不安になってしまう人も多いでしょう。ブランドのイメージが損なわれると、売上の低下にも直結してしまいます。
企業としての信頼を失う
また、別の視点から言えば、取引先や求職者が企業名を検索した際に「〇〇(企業名) 倒産」などと出てきたら、実際は全くそんな事がなくても経営状況が悪化しているように思われてしまいます。取引先との契約を切られてしまう可能性だけではなく、採用活動も困難になってしまうでしょう。
他にも、企業名と一緒にサジェストに表示されるネガティブワードとしては「行政指導」「詐欺」「過労死」「ブラック」などが挙げられますが、こういったワードが表示されているにも関わらず放置しておくと、企業としての信頼を失ってしまうので、早急に対処しましょう。
削除申請がBingから認められる条件は?
Bingを提供しているMicrosoftは、検索結果の削除について、以下のように述べています。
Microsoft では、品質、安全性、ユーザーの要請、関連法規や公序良俗に関する問題のある限定されたケースにおいて、個人、ビジネス、および政府からコンテンツを削除する依頼を受け取ると、Bing は、結果を削除するか、特定のリスクについてユーザーに通知するか、コンテンツを調整するオプションをユーザーに提供します。
具体的に、削除に応じるものを詳しく見ていきましょう
- 政府、個人、あるいはそれ以外からの法的な要請
著作権侵害、誹毀、名誉棄損、個人を特定できる情報、ヘイト スピーチ、その他の個人の権利など法律に違反しているものは本人または代理人の要請で削除を検討すると述べています。 - 包括的なアプローチによる法的な依頼の分野の例
児童の性的虐待に関するコンテンツは積極的に提携期間とも連携して(申請がなくても)削除していると書かれています。また、再度著作権侵害にも触れており、著作権の所有者またはその代理人からの著作権侵害に関する法的要件を満たす通知を受け取った場合は削除を認めるとしています。 - 品質、安全性、およびユーザーの要請
低品質なコンテンツやユーザーの安全性を損なうおそれのあるコンテンツの削除を行う事が述べられています。例えば、詐欺やハッキングに使用することを目的としたスパムサイトや、不注意で投稿されてしまった個人情報、リベンジポルノ、違法ドラッグの販売経路などは見つけ次第削除される事が書いてあります。
Bingサジェストの削除申請方法
Bingサジェストの削除申請は「Bing に関する問題を報告」のページから行います。申請の手順を詳しく説明していきます。
1.「問題について教えてください。」という項目で、一番下の「もう1つ問題があります」を選択します。
2.「問題について教えてください。」の項目が追加されるので、一番上に表示される「地域の法律に従って、コンテンツの削除を要請しています」を選択しましょう。
3.「Bingコンテンツ問題フォーム」に推移します。入力する内容が多いので、個別に解説していきます。
- お名前、あなたの電子メールアドレス
名前は必須項目なので、必ず入力しましょう。メールアドレスは絶対に入れる必要はありません。Bing側は削除の可否についてメールで言及する事は高確率でないとされていますが、もしも可能性があるなら受け取りたい、という場合はしっかりとメールが受信できるアドレスを入力しておくと良いでしょう。 - 上記の URL を見つけたときに使用した検索語句を入力してください
企業名や商品名などの検索ワードを記入します。 - その他の情報を入力してください
こちらが一番重要な項目となります。削除したいサジェスト結果についての詳細を記入します。「削除したいワード」が、どういった法律に違反しているのかを明確にして記入しましょう。Bingは基本的に表現の自由を尊重しているため、「邪魔だから」などといった感情的な理由を記入すると削除申請は却下されてしまいますので注意しましょう。
記入例
「〇〇株式会社」と検索した際に、「倒産」と表示されます。弊社は倒産しておらず、事実無根の内容です。取引にも影響が出ており、業務妨害となりますので削除をお願い致します。
脅迫罪(刑法222条)
名誉毀損罪(刑法230条)
侮辱罪(刑法231条)
信用毀損罪(刑法233条-234条の2)
威力業務妨害罪(刑法233条-234条の2)
- サジェストの結果に表示される風評ワードは上記の法律違反に当てはまる可能性が高いと言えます。Bingに削除依頼を出す際の申請理由を考える時は、参考にしてみて下さい。
- ファイルのアップロード
最後に、ファイルのアップロードを行います。こちらは、先に記入したサジェストの削除理由が真実であるものを証明する資料があれば、添付しましょう。上記の記入例で言えば、「倒産」が虚偽だと証明したいので、申請時にも営業している事を証明できる資料となります。
4.最後に入力した内容に不備がないかをもう一度確認し、CAPTCHA を入力して「送信」ボタンを押せば申請完了です。
削除が認められなかった時
Bingにサジェストの削除を申請し、認められた場合は大体1週間程度で削除してもらえます。その際に、削除完了の報告はありませんので、自分で検索して確認するようにしましょう。削除されなかった場合に相談できる機関や対策方法について、以下で説明します。
弁護士に相談して法的に削除できるよう依頼する
個人でのサジェスト削除が不可能だった場合でも、弁護士が申請すれば削除してもらえたというケースもあります。基本的に削除依頼は誹謗中傷を受けて被害を受けている本人のみが申請可能ですが、弁護士のみ「代理」として被害者の代わりに削除の申請を請け負う事が出来ます。弁護士は法律のプロですので、削除したいサジェストワードがどう法律に違反しているのかを詳しくBingの運営に伝える事が可能なので、削除してもらえる確率も上がります。
依頼するワードが法律に違反している場合は、申請から削除完了まで全てお願いする事ができるので安心ですが、弁護士にお願いする際は自分の予算で依頼が可能なのかという事を確認しましょう。また、弁護士にも得意・不得意な分野があります。インターネットのトラブルに強く実績のある弁護士をしっかり探して依頼するようにしましょう。
誹謗中傷対策を専門にしている業者に依頼する
削除申請したいサジェストワードが法律に違反しているとの証明が難しかった場合は、弁護士に依頼してもBingから認めてもらえない可能性が高いです。そういった場合に相談できるのが、誹謗中傷対策会社です。こういった業者には、代理人として削除を申請する事は出来ませんが、サジェスト対策を行ったり、サジェストに残ってしまった誹謗中傷ワードをクリックされても、その先の検索結果に風評サイトが出ないような対策(逆SEO対策)を行ったりします。
誹謗中傷対策会社に依頼する際は、企業ごとに値段が違っているため予算内でできる対策を提示してもらう事も重要だと言えますが、「削除する」と謳っている悪質な業者に依頼してしまう事のないようにしっかりとヒアリングを行った上で進める事が大切です。また、直接Bingにサジェストワードの削除申請をする場合よりも長期的な対策になる事は覚えておきましょう。
まとめ
Bingは、日本国内ではシェア率が3位という印象が大きいとはいえ年々増加傾向にあり、サジェスト欄に風評や誹謗中傷ワードが表示されていた場合は見逃して良いものではなくなってきました。世界的に見れば2位のシェアを持っているため、とくに海外を見据えた事業を行っている企業は注意が必要です。
Bingサジェストワードの削除をしたい場合は、まずは自分で申請を行ってみましょう。削除理由を記入する際は、感情的にならず事実と法律に違反していると言える理由をしっかり書きましょう。どうしても個人での削除が難しい場合は、自分の都合に合わせて弁護士や誹謗中傷対策会社に相談し、対策しましょう。