芸能人がブログで思慮のない発言をしてしまったり、学生がバイト先で悪ふざけした動画を投稿して炎上してしまい、企業から損害賠償を請求される事件などが後を立ちません。
炎上が発生して収集がつかない状況までに発展すると、多大な社会的影響力を及ぼし始めます。事後の状況を見ると、とてつもない大事件が発生したような印象を受けることが通常ですが、炎上の火種となるきっかけは、本当に些細な出来事なのです。
ブログの炎上はどのような状況で起こってしまうのでしょうか。また、もし炎上してしまった場合にはどのように対処すべきでしょうか。実際の芸能人の炎上事例や、炎上の元となる情報削除や発信者特定の方法なども紹介します。
ブログの炎上とは?
ネット上で「炎上」という状態は既にありふれたものとして認識されています。
「炎上」の定義づけに権威を持っているのは、山口真一氏です。山口氏は国際大学グローバル・コミュニケーション・センター助教授で、1人の人物や企業が発した言動や行為で批判的な発言が多数寄せられることと言っています。
芸能人や企業の代表取締役は、時に特定のサービスや商品をイメージアップさせる「顔」として、新聞やTVなどのメディアに登場します。製品のブランドを印象付ける芸能人の行動や生活は消費者にとっては、購買意欲を後押しするほどの影響を持っているのです。
モノのイメージを向上させる芸能人がもし、思慮のない、マナーに反するような発言をしてしまったら、情報の受け手はどのように感じるでしょうか。消費社会にポジティブなイメージを与えてくれる人物がネガティブな発言を行うことは、本人のファンだけでなく、本人のイメージを通じて商品を買う消費者にとって、購買意欲をダウンさせてしまう要因にもなりうるのです。
炎上は芸能人や企業関係者のみの事象ではなくなってきている状況もあります。10代の学生がバイト先で悪ふざけをしている様子をtwitterに投稿する行為が「バカッター」行為と、炎上事例の1つとして取り上げられることが多くなっています。
一般人の小さな発言であっても、インターネット上の「拡散力」の構造の波に乗ってしまえば、芸能人と同じほどの威力を発揮して、現実社会に影響を及ぼし始めるのです。
ブログの炎上の特徴
日本で炎上とされるケースはかなり多く見受けられます。炎上事例のほとんどは、取り上げている引用元の記事を課題に歪曲しています。
ネガティブな感情表現が目立ち、誇大表現で、記事本来が主張したい内容とズレた形で表現を歪めて拡散させることで、客観的に見たユーザーが気持ちを害してしまうような形で発信されます。後ろ向きで、時にグロテスクな表現を用いて拡散されてしまうため、一般ユーザーもネガティブな反応を示すことで、「表現の負の連鎖」が起こります。
発信されている本来の記事と異なる内容を助長する「ミスリード」や、ネガティブな印象を増幅させるような表現を交えた内容は「炎上タイトル」と呼ばれます。炎上事例の中にはこのようなネガティブ表現が共通的な特徴として、随所に見受けられるのです。
情報リテラシーの低いユーザーが群を成して、特定の内容をまつり上げる形で、ネガティブな情報の集合として、固めていきます。SNSのユーザーは、ネガティブな情報をリツイートしたり、後ろ向きな警告として、引用します。
本来発信されてしまう情報が独り歩きして、拡大されていくことで、本来持っているコンテンツの内容が社会的にも後ろ向きに捉えられるほどの影響力を持ちます。
芸能人の発言や政治家の発言が炎上によりネガティブな形で世間が捉えて、揶揄されていき、当人までもが社会的な制裁を受けるのは、炎上の構造に放り込まれることが要因です。
ブログ炎上の認知・状況
ブログの炎上が世間的に認知されたのは、2004年頃からです。現在、規模の大小問わず、炎上が発生する件数は、年間で60 – 70件程度です。
炎上の発生から収束するまでは、短期間の場合で2週間、長期に及ぶ場合は半年ほどの期間、炎上の波を繰り返すケースもあります。
2004年移行は、炎上自体が社会的な事象として認知されていき、炎上事例や炎上の影響、経緯などについて論ずる心理学者、思想家などが登場していきます。炎上の社会的な影響、解決策、予防策などを論ずる炎上コンサルタントがビジネスとして整理るするという状況も生まれてきました。2000年代に入るまでは、炎上という事象は社会的な認知を獲得していませんでした。
インターネットの普及期である1980年代には、ネット上での発言は、一部のコンピュータに詳しいユーザーの狭いコミュニティ内のみでの文化でした。炎上が社会的な認知を獲得した背景にはインターネットの普及、それに伴う多くのネットサービス、SNSサービスの誕生、産業構造の変化が絡んでいます。
現在、炎上が一番発生しやすいのはtwitterでのつぶやきをきっかけとしています。炎上が拡大して、社会的な影響力を及ぼすまでの出来事になった事例の多くはtwitter内での小さな発言が最初の火種です。つぶやきが炎上を招くという事象構造化されている状況は、1人1人のユーザーの小さな発言が世界中に影響を及ぼすほどの影響力を持つ、発言の「コンテンツ」化というネットの世界では、むしろ歓迎すべき状況なのです。
ユーザーが発する発言のコンテンツ化の負の側面として、炎上という事象は位置しています。インターネット社会の拡大によって、炎上という状況が生まれている状態は否めないのです。
ブログ炎上の経過
インターネットが見せる世間的な情報拡散には、一定のプロセスが存在しています。「バズる」という状況を複数のステップによって、生み出される状況であると仮定します。
個人が取り上げられた情報をローカルメディアが取り上げる→ローカルメディアが取り上げた情報をwikiサービスが取り上げて権威化する→権威化された情報がまとめサイトに取り上げられて世間的な認知を確固たるものにする→まとめサイトに取り上げられた情報を大手のニュースサイトが取り上げて、全国的に配信される。
「バズり」が起こる状況の背後には、情報が拡散して世間的な認知を定着させて情報の価値を高めていくという経緯が存在しているのです。情報の拡散、認知獲得、再配信がプラスに働くことで情報やモノ、サービスがブランド化されて、消費者の欲求を高めるほどの影響力を持ち、産業の活性化に一役買います。
情報拡散のプラスのスパイラルが起これば、モノの流通や、人々の賞賛を促すほどの影響力が生じて、人々の意識にも肯定的な効果を及ぼします。炎上の発生状況、経過には、このような情報の拡散、価値の定着化、再配信と同様のプロセスが動いています。
炎上の場合は経過が肯定的な影響を及ぼさず、人々の気持ちを害するような負のスパイラルを引き起こすのです。
芸能人のブログの炎上事例
ネットユーザーの気持ちにダイレクトに影響して、社会的なイメージダウンまでを引き起こしてしまうのが、芸能人の発言による炎上事例です。普段、ネットのニュースやキュレーションメディアなどに目を通すと、日々、芸能人の問題発言や謝罪が取り上げられています。
情報拡散、再配信のスパイラルの構造の中で、タレント性のある人物の発言が放り込まれると、世間的にプラスの螺旋を描くか、マイナスのスパイラルを引き起こすか、どちらかに偏ります。
芸能人の場合には、ファンが賞賛することも多いです。プラスの螺旋を引き起こすファンよりも炎上ネタを探しているネットユーザーが多いという状況が日本のネット社会の悲観的な側面でもあります。
芸能時の実際の炎上事例を元に、炎上が起こる状況とプロセスを見ていきましょう。
ある日突然、ブログが大炎上!
Cさんは都内で働く活動する俳優で、普段からブログで熱心に情報は新していました。フリーランスで活動しているため、大手の芸能事務所の芸能人と比較すると、世間的な知名度を獲得することに非常に苦労していました。
活動が少しずつ、軌道に乗り始めたころ、自分のブログのアクセス数を確認すると、ある日から、急激に伸び始めていることに気づきました。欣喜雀躍で、SNSで喜びを表明しましたが、数日経った時に気づきました。
アクセス数の急激な跳ね上がりは、ファンが増えて起こった状況ではなく、twitterのユーザーが彼女の発言を歪曲して、拡散してしまったことによるものでした。
天国に上ったと感じた途端、地獄に突き落とされたような気持ちに苛まれました。
炎上によるストレスで病気を発症
自分に対する情報がネガティブな形で拡散されてしまったことに、大変なショックを受けてしまいました。
炎上による心理的な打撃が大きく、ある日胃の痛みが収まらないことに気づきました。
恐る恐る病院で診察を受けると、急性胃腸炎と診断されました。炎上してしまった事実が、心の面でも彼女を蝕んでいったのです。炎上が起こった時に共通する状況として、炎上の的になってしまった本人が非常に大きな精神的打撃を受けるという状態が見られます。
彼女の場合には、急性胃腸炎に掛かるという形で、肉体的な影響が出てしまたが、経済的な打撃を受けてしまった炎上の被害者で自殺に及んでしまう人もいる程です。ネガティブな情報拡散が及ぼす影響は、炎上を知った世間の人々だけではく、本人に対しても猛威をふるいます。
10代の青少年が引き起こすバカッター行為による炎上事例を見ると、情報拡散の的になった本人は、自覚がないにも関わらず、社会的に名誉を引き下げられる的として扱われて、非常に苦悩しています。
当人達は悪ふざけで、炎上の火種となる投稿を行ってしまいましたが、それによって、進学や就職にまで影響を及ぼして、将来の道を閉ざされるという制裁を受けます。
芸能人として活動しているCさんは、ファンによる炎上で社会的な制裁を受けるにまでは及びませんでしたが、炎上による打撃を受けてしまうという点では、バカッター行為によって制裁を受ける青少年と共通している状況も垣間見えます。
ブログの炎上を弁護士によって解決
自分の芸能活動に明らかに悪影響を及ぼし始めた炎上事件。ポジティブな注目のされ方なら良いのですが、今回のケースでは、悪意のあるユーザーによって、彼女の活動がネガティブな形で、世の中に伝わってしまいました。
弁護士に相談することで、炎上が起こった掲示板サイトに書かれたネガティブな書き込みを削除できることを知りました。
削除の対応を行うとともに、明らかに彼女自身の名誉を傷つける書き込みを行ったユーザーに対しては、損害賠償の訴えを起こすことが出来ることもわかったのです。
最終的には、炎上の火種となった書き込みを消すことが出来、炎上も鎮火。賠償請求によって、問題解決に掛かった費用の一部は彼女の手に戻ってきました。
炎上がきっかけでブログコラムニストに成長!
彼女の芸能人生に決定的な影響を与えてしまった炎上事件。炎上は一時的に彼女の評判を地に貶めてしまいました。不運な出来事により精神的にも相当疲弊してしまったCさん。彼女が幸運にで出くわすのは、この後でした。
炎上してしまった事はとても不幸な出来事ではありますが、炎上の内容については、彼女に非はありませんでした。不祥事を起こしたわけでもなく、ファンに対して不躾な発言を行ってしまったわけでもありません。
Cさん自身は、きらびやかなイメージで自分をPRするタイプの芸能人はなく、どちらかと言えば、誠実でコツコツと努力して、才能を伸ばしていく人柄でした。
不運な出来事に合ってしまった体験談を克服した経験や、関係者への感謝を物語にして発表することで、自分自身のセルフブランディングに成功したのです。
炎上の予防と対策
Cさんの例は、炎上の事例としては、一般的ではないかもしれません。炎上はもはや芸能人など、多くの人の目に触れる仕事を行う人にとっての特殊な状況などではなく、一般人として生活している私達にとっても、ある日突然降りかかってくる出来事なのです。
炎上にあってしまったら、どのように対処すれば良いか、基本的な対応方法を紹介します。
ブログ炎上の予防
一度、炎上が起こってしまうと「後の祭り」で、取り返しがつかず、文字通り、炎が広がっていくように、インターネット上でネガティブな情報が拡散していき「2次拡散」と呼ばれる、炎上が起こった媒体から、他の媒体に飛び火してしまう事象も発生します。
普段からの情報発信方法に注意することで、炎上ネタを探しているユーザーが情報を拡散しないように、対策できます。
- 重要な情報のやり取りをしない
- 事実かどうか不確かなものは発信しない
- プライバシーや個人情報を発信しない
- センシティブな情報の取り扱いに中止する
企業の場合は、ネット上での「重要情報」のやり取りに重々配慮する必要があります。
信憑性の無い情報を発信してしまうと、「あのサイトの情報を信じて勝ったのに、嘘ばかりだ」などと、炎上につながるような悪い口コミを集めてしまう可能性があります。
調査を行わない不確かな情報を書き込むことは極力控えて、過去のデータなどを掲載する必要がある場合には【20xx年時点の情報】等の注釈を入れましょう。
「自分や人のプライバシーを発信しない」ことも重要です。2chで炎上が起こった事例として、2ch上で色の強い発言を行っていたユーザーがある日、自分の卒業証書を2chにアップロードしたことにより、他のユーザーが本人の出身校や地元、個人情報などを調査し、特定して、実名を挙げて、誹謗中傷を書き込むという炎上事例があります。
個人情報を公的な情報発信を行う場に載せてしまうことは極力控えましょう。
「センシティブな情報の取り扱い」には重々気を付けましょう。主義主張が別れる政治的な内容であったり、スキャンダルに対して、自己主張を行う発言をブログなどに掲載すると、反対意見を持つユーザーがネガティブな書き込みを行ってくる可能性があります。
内容によっては、差別発言ととらえて、炎上・拡散を企てるユーザーもいますので、機微な内容に触れる時は、発言の仕方に配慮を欠かさないようにしましょう。
炎上してしまった時の情報削除
炎上が起こってしまう可能性を100%積むことは不可能です。実際に炎上が起こってしまうことを想定して対処方法を理解しておけば、もし炎上のケースに突き当たったとしても、早く鎮火することが可能です。
2ch.scなどの掲示板サイトの場合、上のように削除依頼を送信できるフォームが設けられています。申請することで不都合な情報を運用者側に削除するよう働きかけることが出来るのです。
ブログの場合にも、運用者に対して、削除申請をすることで、不都合な情報を削除することが出来ます。ブログの運用元への通報などは下の記事を読んでみましょう。アメブロを例に、記事の削除や通報の方法が確認出来ます。
削除の仕組みを設けていないサイトであっても「プロバイダ責任制限法」という法律に基づいて、「送信防止措置」と呼ばれる、情報削除の申請を行うことで、サイト管理者も対応の必要に迫られます。
炎上してしまって自分の名誉を傷つけるような出来事に出会ってしまったとしても、泣き寝入りせずに対処しましょう。
炎上してしまった時の発信者特定
自分の社会的地位に影響を及ぼす程の酷い誹謗中傷にあってしまったら、情報削除だけでは事足りない場合があります。
相手方に対して、訴求のアクションを行いたいと考えた時に、我々を阻むのがネットの「匿名性」という問題です。インターネット上の掲示板やSNSなどでは、自分の個人情報を隠すことで、言論の自由を最大限発揮できます。
誹謗中傷が起こってしまった場合、情報の発信者は自分の身元を明かさずに、アカウント名や匿名で情報を発信してきます。
- IPアドレスを特定する
- IPアドレスからプロバイダを特定する
- プロバイダから発信者を割り出す
相手方の発信者特定は上の流れで進んでいきます。サイト管理者に対して、発信者のIPアドレスを開示するよう開示請求を行う、これが第1ステップです。この開示請求によって得られたIPアドレスを調査にかけると、ユーザーがどこのプロバイダから情報を発信しているかが把握できます。
プロバイダを割り出すことが出来たら、今度は、把握できたプロバイダに対して、発信者情報開示の請求を行います。3つのプロセスを経ることで、匿名性を明らかにして、相手方の情報を掴むことが出来ます。相手の情報が分かったら、賠償請求などの措置を進めていきましょう。
まとめ|ブログが炎上する前に対処法を覚えておこう
ブログによる拡散は、情報発信している本人の感じる以上に情報拡散のスピードは早く、鎮火、その後の対処も難しい問題です。炎上被害にあってしまった芸能人が、その後の活動が難しくなったり、炎上してしまった企業が父倒産に追い込まれてしまうのも、被害に対する損害が非常に大きく、問題解決の難易度も高いことが要因です。
炎上そのものを恐れる予備も、炎上を普段から予防するように情報発信することが、自分のセルフブランドを守り、良い情報発信を行うことにも繋がるのです。