ネット上で誹謗中傷が書き込まれて、人の名誉や企業のブランドが貶められて問題になるケースが年々増えています。スマートフォンの普及によって、インターネット上での発言が容易になった反面、個人や企業についての誹謗中傷の書き込みがしやすい状態にあります。
例えば「〇〇株式会社は問題がある」「政治家の〇〇は横領しているという噂だ」などのような、明確な悪意がなくとも、マナーに配慮せずに安易に投稿した発言によって、特定企業や人物を中傷してしまう結果を生んでしまうこともあります。
どのような内容が誹謗中傷に当たるのか、法律的な対処が必要なのか、もし自分が誹謗中傷にあってしまったら、どのように対応すべきか、など誹謗中傷に関する対策方法すべてを紹介します。
インターネット上の誹謗中傷とは?対策の必要性
ネット上の誹謗中傷による被害にあってしまうと、多くの問題が噴出します。個人であれば、かなりの心理的ダメージを負うことになりますし、企業であれば、営利活動に支障が出るなど、損失を被ることになります。
掲示板やSNS・転職サイトなどでは、自分についての情報を明かすことなく、ポジティブな内容であれば、ネガティブな内容であれ、自由に発言することが可能です。
誰かを攻撃しようという明確な意図がなくとも、悪ふざけのつもりで書き込んだ、特定の個人名や会社についての投稿が、別のユーザーのコメントが便乗したり、投稿が発生したサイトとは、他の媒体に拡散されることによって、風評被害に発展してしまうことがあります。
誹謗中傷の影響・どのような対策が検討できる?
インターネット上で誹謗中傷が発生すると、各方面に影響が起こり始めます。風評被害や対策方法には個別具体性があるため、書き込まれてしまった内容や、拡散の度合いによって、影響や対策方法が異なります。
企業の場合
各事例はケースバイケースですが、大まかな傾向として、企業名で誹謗中傷が発生した場合には、下の影響が懸念されます。
会社についての誹謗中傷が発生してしまうと、企業の営利活動に様々な影響を及ぼし始めます。
- 売り上げ低下を招く
- 採用活動への影響
- 社員の士気低下
- 信頼性・ブランド力の低下
ある会社が自社の製品開発を依頼する外注先を探していたとします。依頼先の候補を選定中に、Googleで社名を入力して検索をかけた時に、「〇〇株式会社は、倒産する噂がある」という掲示板の書き込みを発見してしまったら、検索をかけた本人はどのような印象を抱くでしょうか。
「この会社は問題がありそうだ」と、依頼することをやめてしまうかもしれません。
ある企業に入社しようとしている学生が、同じように検索をかけた時に「〇〇株式会社でパワハラにあった」という求人サイトを見つけたらどのように感じるでしょうか。内定が決まっていたとしても辞退してしまうかもしれません。
個人の場合
企業名で誹謗中傷が発生した時には、営利活動における社会的な認知度に悪影響が出ます。
比較すると個人名での中傷が発生した場合には本人の名誉低下や、なにより大きな「心理的打撃」を受けることになります。
- 社会的評価が低下する事態を招く
- 知人・親戚からネガティブな印象を持たれてしまう
- 心理的なダメージが大きい
- 個人情報が漏洩してしまう可能性がある
社会的な名誉が低下することで、自分自身の名誉が大きく傷つけられ、個人事業主で仕事をしている方であれば、モチベーションが大きく低下してしまいます。
自分が気になる芸能人や政治家などの名前を検索した時に「〇〇さんは浮気している」などというSNSの投稿を発見してしまったら、どのように感じるでしょうか。書き込みの内容が、仮に事実であっても、当人に対して、ポジティブな印象を持ちづらくなるでしょう。
書き込まれた本人も周囲の関係者から、マイナスの印象を持たれることになり、活動を自粛せざるを得なくなるかもlしれません。
誹謗中傷の対策を阻む「匿名性」の問題
ネット上の誹謗中傷についての問題解決を困難にする要因の1つが、インターネット上の「匿名性」の問題です。掲示板やSNSなどで特定のトピックについて発言する時や、求人サイトなどで口コミを投稿する時には、自分のユーザー名や、アカウント情報を明かすことなく、発言することが可能です。
「匿名も書き込むことが出来る」というネットの暗黙のルールは、オンライン上のコミュニケーションを活性化させてオープンにする、というポイントにおいては、非常にポジティブに作用します。
しかし、風評被害が発生してしまうと、情報を書き込まれた側にとっては、これらの匿名性の問題は、足かせになります。自身や会社の名誉が損なわれたことで、相手方に何らか訴訟を起こしたいと考えたとしても、発信者の情報が明かされていないことが多いです。
訴えを起こすにも、「相手が誰かわからない」という状態の方が多く、事態を打開するためには、相手方の情報を特定するための法的手続きから始める必要があります。

ネット誹謗中傷対策の相談先
「ネットに誹謗中傷を書き込まれてしまったけど、何をしたら良いか分からない」と思ったら、相談先を探しましょう。誹謗中傷が発生すると、法律的な問題や、インターネット上のネットワークの問題、また書き込まれたサイトやSNSの管理者への対応など、複数の問題に挟まれて、身動きが取れなくなることが多いです。
WEB上にネガティブな書き込みが残り続けていることで、心身にも悪影響が出始めて、後ろ向きな情報を閲覧してしまったユーザーは、当人や企業に対してポジティブな印象を持ちづらくなります。このようなネガティブ情報による負のスパイラルの発生を防ぐためにも、関係機関へ相談することで、早急な解決が望めるのです。
誹謗中傷対策業者
インターネットの風評対策を行っている会社による「逆SEO対策」などを利用することで、Googleなどの検索エンジン上で誹謗中傷が書き込まれたサイトが、上位表示されないように対策することが可能です。
- 企業の場合 : 10万~20万円程(状況によっては数十万円)
- 個人名の場合: 数万円 (5万~10万、数十万の場合もあり)
企業名や個人名について、ポジティブな情報が書き込まれたページを作成し、検索エンジンに対しての評価を高めることで、ネガティブな情報の上位表示を防ぎます。これにより、マイナスの情報が拡散することを防いで、ネームバリュー・ブランドを保護することが出来ます。
相場としては、上のような形で、企業名であるか、個人名であるか、また、検索される名前が、月どれくらい検索されるか、などの難易度によって変わります。詳細な価格を把握したい場合には、一度、窓口で相談してみましょう。
弁護士に誹謗中傷の対策を相談する
誹謗中傷対策業者は検索エンジンに対して、ブランドを保護したり、ネガティブな情報の拡散を防ぎます。これに対して、弁護士は、サイトに書き込まれた情報の削除申請を、サイト管理者側に申請したり、後ろ向きな情報の書き込みを行った、情報の発信者に対しての法的な措置を行います。
- 発信者情報開示請求(ネガティブな情報を書きこんだ発信者の情報を特定する)
- 送信防止措置(誹謗中傷の削除をサイト管理者に依頼する)
プロバイダ責任制限法によって、上のような法的な措置をWEBサイトの管理者に対して申請することが可能です。
風評対策は、誹謗中傷対策業者に依頼する方が良い場合と、弁護士に依頼したほうが良い場合と、状況により異なるため、専門家の意見を聞きながら、対応方法を決めていきましょう。

警察に相談する
警察にも誹謗中傷に対して相談することが可能です。各都道府県には、サイバー犯罪の相談窓口が設けられており、インターネット上のトラブルについての解決方法を相談することが可能です。
ただし、警察は事件性が薄い場合には、対処に及んでくれない場合が多いです。インターネット上では、まだまだ法律の整備が整っていない部分が多いです。警察以外にも法的な相談先として、法務局なども挙げられます。複数の相談先に見解を聞いてみて、自分の事例は、どの解決方法が適切か見極めて、対応にあたりましょう。
ケース別・誹謗中傷の対策方法
ネット上の誹謗中傷は、さまざまな事例があります。社会人1人1人の名前、1社1社の名前が違うように、ある名前で書き込まれた風評に対しての解決方法は、すべて異なります。
事例ごとに、対応がちがうため、状況に応じた判断と、有効な対策をえらび取ってい必要がありますが、中傷が書き込まれた場所(SNSなのか、ブログなのか、サイトのコメント欄なのか、掲示板なのか)によって、取るべき対処の傾向があります。
SNSであれば運用元に連絡して消してもらう、ブログの場合には発信者に連絡するか、運用元に問い合わせる、サイトに書かれた内容は、サイト管理者に連絡する、といったように誹謗中傷が書き込まれた場所の「根元」はどこにあるのか、これを考えてアクションを起こせば、原因と、取るべき対応策の切り分けが容易になります。
ブログやツイッターに中傷が書き込まれてしまったケースを例に、対応策を見ていきましょう。
ブログに誹謗中傷のコメントが書かれた時の対策は?
自分が更新しているブログのPV数が伸びてくると、ポジティブなコメントが増えていきますが、ネガティブなコメントが書き込まれる可能性も増えていきます。
自分が知らないユーザーから、ネガティブなコメントが投稿されたら、「過剰反応しないこと」「直接的な行動は控えること」まず、これを心がけましょう。
中傷を書き込んでいるユーザーは、攻撃的な姿勢を示すことで、相手の反応を楽しんで、更に酷いコメントを書き込んでくる傾向にあります。相手が感情的なコメントを書き込んでいるからと言って、こちら側も感情に任せて、対抗しようと考えると、返り討ちにあったり、ますます被害が拡大する可能性があります。
相手の姿勢に過度に反応せずに、一度は無視、相手の追従が止まないようであれば、ブログの運用元に通報するなど、冷静に対処すれば、とくに火の粉が広がることはないのです。
誹謗中傷だけでなく、インターネット上のトラブルは「原因の根元を探ること」これが問題解決の近道です。WEB上にひどい情報を書きこまれてしまったとしても、運用者が消去する権限を持っています。「誰が判断の権限を持っているか」ここを辿ることで、解決も早まります。

ツイッターに誹謗中傷のコメントなどが投稿された時の対策は?
炎上が一番起こりやすいSNSはツイッターです。Facebookなどと比較すると、ツイッターは短い文章で投稿することができるため、人や会社についてのネガティブな情報を書き込みやすいのです。
- ツイートの対しての否定的なコメント
- 個人情報を暴露するツイート
- なりすまし・アカウントの乗っ取り
- ・他人のプライベートを晒すツイート
悪意を持ったユーザーから、必要以上に攻撃的なコメント、メッセージが届いたら、ツイッターのブロックやフォロー解除をすることで、相手からの中傷を断ち切ることが可能です。
なりすましや乗っ取り、自分の個人情報を晒すような投稿を発見したら、ヘルプセンターで違反報告をすることも視野に入れて対処しましょう。

まとめ│誹謗中傷の対策は、問題の切り分けが必要
ネット上の誹謗中傷に対する対処は、状況に応じた見極めが必要です。心ない書き込み、そこだけに注意が向いてしまうと、「どうしてこんなことに・・・」、「自分の将来が台無しだ・・・」と、感情的になり、ポジティブな解決策が遠のいていきます。
冷静に状況を見極めて、専門家の意見を聞きながら、自分が出来る対処法方法を取っていきましょう。