誹謗中傷・風評対策

ネットの誹謗中傷は犯罪?逮捕できる?困ったときに相談できる機関まとめ

ネットの誹謗中傷に泣き寝入りしないための解決策を紹介します

ネット掲示板などを利用してインターネット上で他人を誹謗中傷する人が後を絶ちません。しかし近年では「ネットだから大丈夫」と思っていた人達が特定され、逮捕や書類送検されたり慰謝料を請求されたりするような事件も増えていますよね。本記事では、なぜインターネットに誹謗中傷を書き込んでしまうのかという心理と、インターネット上の誹謗中傷で警察が動ける場合とそうでない場合の違い、警察以外に相談できる様々な機関をまとめました。

ネットで誹謗中傷をする人の心理とは

ネットで誹謗中傷をする人の心理

インターネット上で誹謗中傷を行う人の心理とはどういうものなのでしょうか?心理学では、「欲求不満攻撃性仮説」という考え方もあるように、現代社会で大きなストレスに晒されている事から攻撃的になっているのではないかとも考えられますが、一般的な誹謗中傷を行う人の心理を挙げてみると、大きく下記の4点になります。

妬みや僻み

「自分の方が評価されるべきなのに、なぜこの人が・・・」などという嫉妬心から誹謗中傷に走る事があります。自分が上なのだと示したいために、相手の誹謗中傷を並べて貶めています。

過剰な被害妄想を抱いている

このパターンは、自分が信じているものに対して反対の意見を持っている人に対して過剰な誹謗中傷を行います。自分の意見が一番正しいと信じているため、「自分と違う意見」→「正しくない・敵」→「誹謗中傷しても良い」と考えています。相手を悪者に仕立て上げる事で、対象の立場を悪くしようとしています。

承認欲求を満たそうとしている

これは、誹謗中傷をしている人に便乗して同じような悪口を投稿する人に当てはまります。(特定のグループ内など狭い範囲である事もありますが)多数派の意見と同じ意見であると示し、それを多くの人から「いいね」やリツイート、コメントで肯定してもらう事によって安心しようとしています。

誹謗中傷を受けた相手の反応を楽しんでいる

信じられない方もいるかもしれませんが、特に相手に特別な感情がある訳でもなく、ただ単に相手が誹謗中傷を受けている時の反応を見るのが楽しいからという理由で誹謗中傷を行う人もいます。他の3点に関しても言えますが、このパターンは特に「自分が悪い事をしている」という意識は薄いです。

「匿名だからバレない」は間違い!ネットでの誹謗中傷は絶対にNG

ネットでの誹謗中傷は絶対にNG

インターネットでの発言は、基本的に匿名性が守られています。SNSなどのIDは自由に決められるか、ランダムな英数字が割り振られますし、ユーザー名もサイト毎に変えてしまえば個人を特定する事は不可能に見えます。これが、インターネットで誹謗中傷が簡単に行われてしまう理由のひとつと言えます。

しかし、インターネットに接続された機器には、それぞれIPアドレスという識別用の固有番号が振られており、インターネットプロバイダはそのIPアドレスから個人を特定する事が可能です。そのため、かなり厳密に言えば、「インターネットは完全に匿名」とは言えないのです。もちろんプライバシー保護などの観点から、個人のIPアドレスから判明する住所や氏名がプロバイダから公開される事は基本的にありません。

「基本的に」と述べましたが、インターネット上で発言された誹謗中傷の書き込みが法律に違反する悪質な内容だった場合は、警察の捜査照会書や裁判所が発行する開示命令書など然るべき機関の命令でIPアドレス、およびそこから判明した利用者の住所や氏名が開示される事もあります。

インターネットの匿名性について
ネットの「匿名性」を過信してはいけない理由|ネット犯罪はこうして特定・逮捕されるインターネットを利用する際、基本的には実名を公開する必要がなく「匿名」でサービスを利用できます。そのため、さまざまなところで匿名性を利用...

ネットの誹謗中傷が犯罪に当てはまる場合は警察に相談

誹謗中傷が法律違反なら警察へ

インターネット上であっても、犯罪に繋がる誹謗中傷であればやはり警察に相談するべきでは?と考える方もいるでしょう。最近では、インターネットの掲示板で誹謗中傷をされ続けた芸能人が警察や弁護士の協力を得て犯人の特定を行った事がニュースになっていたりして話題にもなっていますよね。その一方で、知恵袋などでは「ネットで誹謗中傷をされて警察に行ったけど対応して貰えなかった…」と言う書き込みもあります。インターネットにおける誹謗中傷問題で警察が動いてくれる場合とそうでない場合を考察してみました。

ネットで誹謗中傷を受けたのに警察が動いてくれなかったのはなぜ?

一般市民の生活を守るために、犯罪者を取り締まってくれる警察。誹謗中傷が犯罪であるなら、ネットに書かれた誹謗中傷について警察に通報すれば対応してくれる・・・と考える人もいるかもしれませんが、全てに対応して貰える訳ではありません。実際に相談したけれども、犯人を探したり取り締まったりする事が難しいと言われてしまった経験のある方もいるかもしれません。

警察には、人の喧嘩ともとれる程度のもめ事には立ち入るべきではないという原則があり、これを「民事不介入」と言います。つまり、警察に動いてもらう場合には「民事訴訟で解決できてしまう問題」ではなく「刑事事件」と判断できるような事件性がなければいけません。相手に刑事責任を負わせるためには、刑法に違反していないといけない訳です。

とはいえ、インターネットが普及するにつれ、インターネットが関わる犯罪も多様化しました。それに伴い、インターネットトラブルに関連する犯罪の取り締まり範囲も変化しています。例えば、「ストーカー行為等の規制等に関する法律(通称:ストーカー規制法)」。2013年時点ではSNSやブログのストーカーは規制の対象外でしたが、2016年に起きたストーカー殺人未遂事件をきっかけに「ストーカー規制法」が見直され、SNSを用いたつきまとい行為も規制の対象になりました。このように、警察でも時代に合わせた取り締まり範囲の見直しが行われています。

ネットストーカーの基準はどこから?こんな人が周りにいたらすぐに相談しようインターネットが普及し、SNSなどで気軽に日常を発信できる環境が整った現在では、簡単に特定の人物がどこで何をしているかを調べる事が出来る...

また、警察に相談するなら、各都道府県の警察本部に設置されているインターネット上の犯罪に詳しい「サイバー犯罪相談窓口」に相談するのがオススメです。

警察が介入できるネットの誹謗中傷問題は?

警察が介入できるインターネット上の誹謗中傷問題は、下記の犯罪に当てはまるような行為になります。大きく分けるとインターネットでの誹謗中傷投稿は以下の4つの法律を犯す場合が多いと言えますが、その他にも「ストーカー規制法」の規制対象に当てはまる「つきまとい等」などでも警察に相談すれば動いて貰える事があります。

脅迫罪(刑法222条)

掲示板やSNS、ブログなどでの殺害予告など、インターネットを使って、特定できる個人の「生命」「身体」「自由」「名誉」「財産」に害を加える事を告知し脅迫する行為が当てはまります。「財産」は、家やペットなども当てはまるので住居放火予告やペットの殺害予告なども脅迫罪が成立します。

信用毀損罪(刑法233条-234条の2)

信用毀損罪は企業や有名人などの被害が多いため、ニュースなどで見た事のある方も多いかもしれません。簡単に言えば、嘘の誹謗中傷を不特定多数が閲覧できる場に書き込み、相手の信用を貶める行為の事を言います。

「〇〇株式会社は倒産寸前」などという嘘が書き込まれた場合、それを信じて取引を辞める取引先が出てきてしまいますよね。「〇〇ってレストランの料理に虫が入っていた」という嘘を書き込まれた場合も、当然その店で食事をしようとする人は激減します。そういった被害が出た場合、その嘘を書き込んだ犯人に対して「信用毀損罪」が成立します。

名誉毀損罪(刑法230条)・侮辱罪(刑法231条)

名誉棄損罪と侮辱罪はどちらも「相手の誹謗中傷を書き込む行為」という点で似ていますが、大きな違いは「公然と事実を摘示」している場合(名誉毀損罪)か、していない場合(侮辱罪)かで別れます。「摘示」とは「示す」という意味なので、書き込んだ内容が「事実」として証明できるのか否かが分かれ目となります。

簡単に言えば、「不倫している」「横領している」など、事実であるか否かが客観的に判断・証明できるものは「名誉毀損」。「馬鹿」「能力がない」など、事実であるか否かが客観的に判断・証明できないものが「侮辱」ととらえて良いでしょう。また、ここで言う「事実」は必ずしも真実である必要はなく、「虚偽の事実」も当てはまる事がポイントです。

インターネットの犯罪を通報・相談できる機関まとめ
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ネットの誹謗中傷で警察が動いた事例

2019年の6月に、あるタレントの公式ブログへ誹謗中傷コメントを何度も書き込んだとして、北海道に住む50代の女性が警察庁から書類送検されました。ブログのコメント欄に「馬鹿みたい」「死ね消えろ」などと投稿していた事が「脅迫罪」に当てはまったためです。この犯人は、被害者に対して特別な憎悪があった訳ではないとされ、インターネット掲示板などで他の人が書き込んでいる誹謗中傷の投稿に感化され同じように書き込んだと主張していました。

インタビューでは動機についても「みんな書いてるじゃないですか」「なんとなく」などと回答しており、その言動からも「罪を犯した」という意識はとても低い事が伺えます。インターネットは基本的に匿名性が守られているため、どうしても他人の意見に同調しやすくなってしまう部分はありますが、インターネットでもそれ以外でも「他人が法を犯しているから自分も大丈夫」はあり得ません。強い恨みがある訳ではなくても、書き込み内容によっては名誉棄損罪・侮辱罪など前項で説明している「警察が介入できるネットの誹謗中傷問題」に当てはまり、警察も動いてくれるという事例です。

参考記事:SANSPO.COM(サンスポ)

インターネットの誹謗中傷を相談できる機関がある

誹謗中傷を人権擁護局に相談する

法務省の人権擁護局は、人権が侵害されたときの相談を受け付けてくれる機関です。いじめ・子どもの人権相談やセクハラ・家庭内暴力を受けている女性ホットラインなど、用途別に窓口が設けられています。

さらに、インターネットでの相談は英語・中国語での受付も行っているため、日本語が上手くできない方も人権相談をする事が可能です。専用ダイヤルから受け付けている電話での相談は、上記2ヵ国語に加えて韓国語、フィリピン語、ポルトガル語やスペイン語など合計10ヵ国語に対応しています。

書き込みを削除したい場合や犯人を特定したい場合は弁護士に相談

誹謗中傷の犯人を特定したい場合は弁護士に相談

インターネットの掲示板やSNSなどに書かれてしまった誹謗中傷を削除したい場合に力強い味方となってくれるのが弁護士です。誹謗中傷の内容が法律に違反していた場合、基本的には被害者本人が管理者に連絡するなどして削除の手続きを行わなければいけませんが、被害者の代理人となってサイトの管理者に削除請求を送れるのが弁護士です。

本人でもできる削除請求を弁護士に依頼するメリットは、弁護士が法律のプロであると言う事が大きく挙げられます。削除したい書き込みが、どういった法律に違反しているのか、その根拠を分かりやすくしっかり記述してくれるため、削除が通りやすくなります。

また、被害者が民事訴訟を起こしたい場合にも、必要な書類の作成が難しいため弁護士を頼った方が安全です。弁護士への依頼はそれなりの予算が必要にはなりますが、しっかりとしたアドバイスやサポートを行ってくれる味方がいるのはとても心強いですよね。弁護士に依頼する場合は、インターネットのトラブルに強く、解決実績のある方を選ぶと良いでしょう。

法的な手段で削除不可能なら誹謗中傷対策会社に相談

誹謗中傷対策会社に相談する事も考えよう

警察や弁護士などの機関はとても心強いですが、いくら酷い投稿をされてしまっても法律に違反するような誹謗中傷でない場合は対応不可能とされてしまう事があります。そういった場合に相談してみると良いのが誹謗中傷対策会社です。誹謗中傷対策会社が行っている逆SEOという施策は、どうしても削除できない投稿のあるページを、「検索結果の上位に表示させない」ようにするものです。

ページのドメインパワーの強さによっては上位表示をさせなくするために長い期間がかかってしまう場合もあるというデメリットもありますが、法律に違反してはいない誹謗中傷でも対応する事は可能で、定額制で依頼すれば一ヶ月あたりの料金も比較的安く対策できるのが特徴です。

まとめ|ネットの誹謗中傷は泣き寝入りせずに相談しよう

インターネットでの誹謗中傷は、「匿名がからバレない」と思って書き込んでいる人も一定数います。一昔前までは警察などでもインターネット上での犯罪に対する整備が整っていなかったため、解決に時間がかかってしまう場合がありました。しかし、現在はサイバー警察といったインターネット犯罪に精通している人員が揃った機関もありますし、警察以外にも相談できる機関は多くあります。インターネットトラブルに強い弁護士も力になってくれます。近年では有名人・芸能人が実際に警察や弁護士の協力のもと犯人の特定や逮捕に至ったケースも出てきています。

インターネットの誹謗中傷で困った時に相談できる機関がたくさんある事をしっかり覚えておき、もしも被害を受けてしまった時は適切な機関に相談するようにしましょう。

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